ばればれのおもい

「ナナと二人きりなんて久しぶりだな」

「うん、二人きりは久しぶりだね」

 連休四日目にして暇を持て余していたナナを一番上のお兄ちゃんである七瀬お兄ちゃんは貴重な休日であるにもかかわらずナナをドライブに誘ってくれました。

「ナナ、好きな人が出来ただろ?」

 七瀬お兄ちゃんは茶化すようにそう言いましたが、その言葉の中にはお兄ちゃんとしての複雑な感情が混じっているように感じられました。

「出来ていな……出来たよ。好きな人」

 二番目のお兄ちゃんである七也お兄ちゃんと三番目のお兄ちゃんである七朝お兄ちゃんに言うと気絶するほどの衝撃を与えてしまうでしょうが、七瀬お兄ちゃんなら大丈夫だと信じてナナは事実を伝えました。

「やっぱりかぁ~ 何となくそうじゃないかとは思っていたけど」

「えぇ~!? 七瀬お兄ちゃん気付いていたの?」

「俺だけじゃなくて七也と七朝、父ちゃんと母ちゃんも気付いていると思うぞ」

「う、嘘だよ。そんなこと!」

 二人きりの車内でつい大きな声を出してしまったナナを横目で見た七瀬お兄ちゃんは鼻で笑いました。

「ナナは昔から隠し事が下手だからな。好きな人って、ナナの学校の生徒会長だろ?」

「な、な、な! 何でわかるの!?」

「何でって、生徒会長から連絡が来た時のナナはただの先輩後輩、ただの上司と部下とは思えないほど嬉しそうな顔をしているから見ればすぐわかる。父ちゃんと七也それに七朝は信じたくないみたいだが」

 家族の前だけとはいえ、その様な表情をしていたなんて恥ずかしくてたまりませんでした。




七海 「ナナって、分かりやすい表情しているのかな?」

笑舞 「そうね」

七海 「えぇ~!?」

七海 「やっぱりそうなんだ……」

笑舞 「でも、そこがナナの可愛らしいところだと思うわ」

七海 「……」

七海 「ありがと」

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