こいばな

「あ~ちゃん起きてる?」

 真っ暗な部屋の中で紗綾が私に声を掛けてきました。

「寝てる」

「ねぇ~お話しようよ」

「さっきまで嫌と言うほどしたでしょ?」

「寝る前と言ったらコイバナでしょ? しようよ~」

「おやすみ」

 小さく溜息を吐いて目を閉じると、隣で横になっている紗綾がもぞもぞと動き出しているような音がしてきました。

「海くんに気持ちを伝えるために高校で今どき女子っぽい性格に変えたのにひと月と経たずに元の可愛くない正確に戻した臆病なあ~ちゃんの最新コイバナ聞きたいなぁ~」

「ちょっ、重い。のしかからないで」

「話してくれる?」

「いや」

「ふ~ん。それじゃあ」

 暗闇で私の上に乗っている紗綾の表情は確認できませんでしたが、嫌な予感はひしひしと感じました。

「ひゃぁっ! わ、わかった。話す。話すからぁ」

 脇腹を重点的にくすぐってきました。

「よろしい! じゃあ、お布団の中に失礼します」

 私に返事をする暇も与えずに紗綾は私の寝ている蒲団の中へ入ってきました。

「わざわざ私の方の布団に入る事は無いでしょうに」

「そう言いながらあ~ちゃん嬉しそうな声をしているけど?」

「否定はしないわ」

「あ~ちゃんかっわい~」

 狭い布団の中で抱きついてきた紗綾はとても暖かくていい匂いがしました。




紗綾 「海くんにプレゼント」

紗綾が画像を送信しました。

海  「これって、明日香か?」

紗綾 「寝顔かっわいいでしょ?」

海  「否定はしないけど」

紗綾 「WWW」

海  「?」

紗綾 「あ~ちゃんと同じこと言ってる」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る