てんもんがくぶ

「すいません。生徒会の方ですよね?」

 生徒会室へ向かっているワタシに声を掛けてきたのは、天文学部で部長を務めている小三河夏夜先輩でした。

「はい、そうですが。何かご用でしょうか?」

「えっと……。これを提出するのを忘れていて」

 小三河先輩がワタシに手渡してきたのは活動日の欄に今日の日付が書かれている夜間活動届でした。

「流石に、今日の今日で承認は難しいかと」

「私の不手際なのは重々承知していますがお願いします。今夜はこと座流星群の絶好の見ごろなんです。部員もみんな今日を待ち望んでいて……。私が申請書を出し忘れていたと知ったらどれだけ悲しむか」

「……少々お待ちいただけますか?」

 明らかに小三河先輩側の不手際ではありましたが、今にも泣きだしてしまいそうな顔でお願いされてしまっては申請をワタシの独断で断るなんてことが出来るはずもなく、会長へ電話をかけて判断してもらうことにしました。

『もしもし』

「お疲れ様です。小柳橋です。お時間よろしいでしょうか?」

『わざわざ電話をかけてきたって事は急ぎの連絡だろ? どうした?』

「今、天文学部の小三河部長から活動日の欄に今日の日付が入った夜間活動届を受け取ったのですが……」

『許可して良いよ。副部長の星城から仮申請受け取っているから』

 会長の話によると、小三河先輩が申請届を提出し忘れるのはいつものことらしく、それをよく知っている星城望美先輩が前もって仮の申請を随分前に提出していたとのことでした。

「そうでしたか。では、小三河部長にはそのようにお伝えしておきます」

『おう、よろしく』

「ありがとうございました。失礼します。……お待たせいたしました」

 電話を切ったワタシは小三河先輩に視線を向けました。

「どうでした?」

「副部長の星城先輩が事前に仮申請を提出していたようなので今回は許可します」

「本当ですか! ありがとうございます」

「その言葉はワタシではなく星城先輩に伝えてください。それと、申請は活動日の一週間前までには必ず提出してください」

「はい。以後気をつけます」

 小三河先輩は反省しているようでしたが、ワタシは何となくではありますがまた同じことを繰り返すような気がして仕方がありませんでした。



生徒会議事録

 こと座流星群かぁ、美沙の家からも見えるかな? 美沙

 見えるとは思いますが、明け方の方が見やすいと聞きました。 笑舞

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