ひきだしのなか

「今日は誰だ?」

 ため息交じりにそう呟いた海先輩は引き出しの中から銀色のトランペット型キーホルダーを三つ取り出して美沙先輩たちに問いかけました。

「海君もしかしてワタシたちを疑っているの!」

「……疑っているというより、断定している」

「酷いなぁ。明日香もそう思うよね?」

「えぇ。決めつけるなんて最低ね」

 柚鈴先輩、美沙先輩、明日香先輩がそう言い終えると、海先輩は再び大きく長い溜息を吐きました。

「それで、結局今日は誰が入れたんだ?」

「は~い」

「はい!」

「……はい」

 挙手をしたのは先輩方三人でした。

「海君聞いて!」

「美沙たち本当はゴールドのトランペット狙いだったの」

「でも、三人そろってシルバーのトランペットだったから海にあげることにしたという訳」

「だったら、メモでも添えといてくれ。俺の引き出しはゴミ箱じゃないんだぞ」

  呆れるようにそう言った海先輩の机はガチャガチャにはまってしまったらしい先輩方のかぶった景品置き場となっていました。



生徒会議事録

 海先輩、ありがとうございます。笑舞には明日渡しておきますね。 七海

 何? 海、七海さんにあげたの? 明日香

 流石に同じものは三つもいらないからな。 芹沢

 海が地雷を踏んだ気配。 美沙

 完璧に踏んだね! 柚鈴

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