まちあわせ
「いっちばーん!」
生徒会室を飛び出したワタシは校門の前で後ろを振り返ってそう言いました。
「みんな遅いなぁ!」
遠くの方をよく見てみると、海君たちはまだ校舎別館を出たばかりでした。
「柚鈴先輩、お疲れ様です」
「おわぁ! 颯君だったよね! 笑舞ちゃんと同じクラスの!」
「憶えていてくれて良かったです。生徒会も今終わった所ですか?」
「そうだよ! 颯くんは部活だよね! 男子バスケ部!」
笑舞ちゃんから聞いた話ですが、颯君は今月から正式に男子バスケ部の部員になったとのことでした。
「でも颯君、ここで何をしているの!」
「えっと、何をしているって事は無いですが……」
颯君はそう言うと、ゆっくりと歩いてワタシたちのいる校門へ向かってきている海君たちを見つめました。
「そっか! 笑舞ちゃんを待っているんだね!」
「待ち合わせているという訳では」
「大丈夫、分かっているよ! お~い! 笑舞ちゃ~ん!」
「ちょ、ちょっと柚鈴先輩!」
ワタシが笑舞ちゃんを呼ぶと、颯君は慌てながらワタシを止めに来ました。
「颯さん?」
「あ、笑舞さん。お疲れ」
「お疲れ様です。随分と楽しそうですね」
「楽しいなんて事は無いけど、柚鈴先輩がいきなり笑舞さんを大声で呼ぶものだから」
迷惑そうにそう言った颯君でしたが、笑舞ちゃんに向けていた表情は言葉とは違ってとても嬉しそうにしていました。
笑舞 「颯さん、部活に入ってみていかがですか?」
颯 「楽しいよ」
颯 「笑舞さんに背中を押してもらえてよかった」
笑舞 「ワタシがしたことは大したことでは」
笑舞 「その道を選んだのは颯さんですから」
颯 「そうだとしても」
颯 「ありがとう」
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