じしん
「七海ぃぃぃ」
生徒会室に向かおうと教室を出ると春休み以降聞けていなかった声がナナの名前を叫びながら近づいてきました。
「梨々花ちゃん! 久しぶりだね」
「もぅ、七海ったら生徒会で忙しいのは分かるけど、少しはわたしにも構ってよ」
「ちょ、ちょっとぉ。寂しかったのは分かるけどわしゃわしゃしないでよぉ」
梨々花ちゃんはいつも以上にナナの髪をわしゃわしゃといじくりまわしていましたが、悪い気分はしませんでした。
「ところで、七海新しいクラスでいじめられていない?」
「え? ど、どうしてかな?」
「どうしてって、決まっているでしょ。こんなにかわゆい娘がいたら女子も男子もいじめたくなっちゃうでしょ?」
「そ、そうかな? そんな事は無いと思うけど」
「実際どうなの?」
ナナの髪をいじりながら梨々花ちゃんは真面目な表情でそう言いました。
「まだ三日目だけど、みんな優しいよ。お菓子くれるし」
その所為で一昨日は酷い目に遭ってしまいましたが。
「お菓子くれるからって何でも言うことを聞いちゃだめだからね。わたしとの約束」
「も、もぅ。梨々花ちゃん! ナナも高校2年生なんだよ! それくらい分かっているよ」
「そうかなぁ? 心配だよ」
梨々花ちゃんはお姉さんのようにナナの事を心配するような素振りを見せながらナナの髪をツインテールに結びました。
「大丈夫! 副会長を信じなさい」
「ふふっ、やっぱり七海はかわゆいなぁ。別のクラスになってもわたしはずっと七海の親友だから困った時はいつでも頼るんだぞぉ」
「うん、ありがとう。梨々花ちゃん」
梨々花ちゃんと別のクラスになって不安になっていたナナでしたが、梨々花ちゃんの言葉でナナは自信を取り戻すことが出来たような気がしました。
生徒会議事録
ナナちゃん、今日の髪型一段と可愛らしいね。 美沙
ありがとうございます。ナナの大親友が結んでくれたんです。 七海
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