さがしもの
「ユズリーン、ユズリン、ユズリン、ユズリーン!」
そう叫びながらノックもせずに生徒会室へ飛び込んできたのは、ユズリンこと柚鈴先輩の同級生で選挙管理委員会の委員でもある真白友利先輩でした。
「友利ちゃん、いらっしゃい!」
「焦っているご様子ですが、何かあったのですか?」
「妹柳橋ちゃんよく聞いてくれた。実はユウのペンケースが無くなっちゃった感じなんだけど、生徒会に届いてない?」
「失くしたことに気が付いたのはいつ頃ですか?」
「さっきまで教室で話していたんだけど、この後バナナジュース飲みに行こうって話になって、荷物をカバンに入れている途中でペンケースが無いことに気付いた感じ。ノンとココとマキも探すのを手伝ってくれてんだけど、全然見つからなくて。もしかしたらもしかしたら生徒会に届いてないかなって」
真白先輩は柚鈴先輩の頭の上に顎を乗せながら焦っているような口調でとても焦っているようには見えない表情でそう言いました。
「じゃあ、ワタシたちも友利ちゃんのペンケース探しを手伝うよ!」
「柚鈴先輩が今行っている仕事はワタシが引き継ぎます……って、ワタシたちって言いました?」
「言った!」
今日の生徒会室は、会長、美沙先輩、ナナが別件で生徒会室を留守にしているのでワタシと柚鈴先輩そして、珍しく真面目な表情で仕事を行っている小雨先生しかいませんでした。
「ほら、笑舞ちゃんなら色々な情報網を持っているからすぐに見つかるかもしれないでしょ! ワタシの今日の仕事は終わったから引き継ぐ必要もないし! 探す人数は多い方が良いから!」
柚鈴先輩と真白先輩はキラキラと輝く瞳でワタシをジッと見つめてきました。
「わかりました。行きましょう。小雨先生、申し訳ないですがお留守番お願いします」
「私の事は気にせずに行って来てください」
先輩から真っ直ぐな瞳で頼まれてしまった以上は後輩として断ることが出来ず、ワタシは生徒会室の留守番を小雨先生に依頼して真白先輩のペンケースを探しに向かいました。
生徒会議事録
ペンケース見つかったみたいでよかったな。 芹沢
何故ペンケースが食堂にあったのかは謎でしたが。そもそもペンは入っていませんでしたし。 笑舞
ペンが入っていないペンケース? 七海
何が入っていたの? 美沙
大量のプリクラ! 柚鈴
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