かがくのしょうてすと
「お疲れ様です」
「おう、お疲れ!」
生徒会室へ入ると、会長がいつになく上機嫌で挨拶を返してくれました。
「今日の会長はやけにご機嫌なようですが、何か良いことでも?」
「そうか? 特に変わった事は無いけどな」
そう答えた会長でしたが、ワタシが勘違いをしているとは思えないほど今日の会長は目に見えてご機嫌でした。
「美沙先輩は何かご存知ですか?」
「知ってはいるけど、本当に聞く?」
「一度気になってしまった以上は知りたいです」
今まで周囲の人物に目に見えた変化が見られても気にもしなかったワタシが人に興味を持つようになるなんて生徒会に入ってから意識が変わったことに我ながら驚きつつワタシは食い気味にそう答えました。
「本当にくだらないことではあるけど、今日返却された科学の小テストが明日香よりも良い点だったからご機嫌なだけ。テストの度にこんな風にあからさまに喜ぶか、あからさまに落ち込むから気にしていると疲れるよ」
「そ……うですか」
そんな事と言いそうになったワタシはその気持ちをグッと抑えてそう言いました。
「ちなみに、美沙先輩と会長ではどちらの方が良い成績だったのでしょうか?」
「海の点数は知らないけど、多分美沙じゃないかな? 満点だったし」
わかりきっていることとはいえ、会長の耳に入ったら落ち込んでしまうと思ったらしい美沙先輩はワタシの耳元でそっと囁きました。
「ちなみにですけど、柚鈴先輩が落ち込んでいる理由も」
「多分、科学の小テストが原因じゃないかな?」
机に突っ伏している柚鈴先輩は失礼ながらとても不憫でした。
生徒会議事録
来月の中間試験の前に皆で試験勉強しようか。 美沙
その時はミササのノート見せてね! 柚鈴
俺だけ美沙に教えてもらうのは不公平だからその時は明日香も呼ぼう。 芹沢
海先輩、美沙先輩に教えてもらう気満々ですね。 七海
ナナもワタシと勉強会をしましょう。お互いの為に。 笑舞
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