じょせつ

「そう言えば」

 今日の生徒会室の沈黙を破ったのは、とうとう自前のお菓子を持ち込むようになった小雨先生でした。

「今朝、雪が降って少し積もっていたじゃないですか」

「外を見ていた限りだと午前中には溶けたみたいですが」

「今から話すことはまだ確定事項ではない話なので、頭の隅にでも入れて置いてもらえればいいのですが、今年から生徒会にも除雪作業をお願いしたいという話が出ていたりするのですが……嫌ですよね~」

 顧問であるが故に参加義務が生じる小雨先生の私情が最後に加えられたような気がしましたがあえて聞こえなかったことにしました。

「俺は別に構いませんが、去年まで除雪はどのようにしていました?」

「去年までは小型の除雪機を使っていたみたいですけど、今年は少しでも予算を抑えたいらしくて」

「機械にお金を使うなら生徒会にお願いしようって事みたいだね」

「まぁ、機械もタダでは動かないからな」

「もし、生徒会が除雪作業を行うことになった場合、ナナたちは普段より早く登校する必要がありますよね?」

 生徒会役員の中で最も学校から遠い地域に住んでいるワタシの事を思ってか、ナナはそんな質問を投げかけてくれました。

「恐らくそうなるかな?」

「決定事項じゃないみたいだから今すぐ心配する必要はないと思うけど、それぞれ事情があるだろうから無理する事は無いよ」

 会長は優しくそう告げましたが、一番無理をしそうなのは会長ではないかと思いました。

「残念なことに、生徒会は除雪活動に現時点では賛成という事ですね」

 小雨先生はあからさまにがっかりしながらメモ用紙に記録を残していました。



生徒会議事録

 それにしても今朝は寒かったな。 芹沢

 カイロが必須ですね。 七海

 起きたら空が暗い日々がまた始まるのですね。 笑舞

 笑舞ちゃん早起きだね。 美沙

 ワタシも早起きは得意だよ! 柚鈴

 若いなぁ。私も若い方だけど! 小雨

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