こうきゅうもなか

「そろそろ休憩にしませんか?」

 ワタシがそのような提案を呟くと、役員全員の作業の手がピタリと止まりました。

「そうだな。お茶でも淹れるか」

「姉さまから生徒会へ菓子折を預かって来ましたので良ければそちらも召し上がってください」

 ワタシがそう言って姉さまから預かってきた紙袋を取り出すと、美沙先輩が目を大きく見開きながら驚いていました。

「笑舞ちゃん、それってもしかして」

「古本屋百貨の最中です。姉さまがここの最中がお好みなようで、小柳家では常備しているお菓子なのですがお口に合えば良いのですが」

「お口に合えばって、この最中はとても高級な最中だよね?」

 ワタシの家以外ではあまり見かけないものなのであまりメジャーなものではないと思ったのですが、どうやら美沙先輩だけは知っているようでした。

「そんな高価なものなのか! 笑舞、風和先輩からとはいえ高価なものは受け取れないよ」

「昨日の件で姉さまが自分の意見を押し付けすぎたと今までに無いくらいの反省をしていたのでその反省の気持ちという事らしいので」

「海君、折角頂いたものを返すのも申し訳ないよ!」

「ナナも柚鈴先輩の言う通りだと思います」

 柚鈴先輩とナナがそう言うと、会長と美沙先輩は顔を見合わせて小さな溜息を吐きました。

「笑舞、風和先輩に今後は高価な差し入れは遠慮するよう言っておいてくれ」

「じゃあ、美沙はお茶淹れてくるね」

 普段から生徒会室に常備されている茶葉で美沙先輩がとても美味しく淹れてくれた緑茶と姉さまの最中を口に運びながらワタシたちはいつもより長々と休憩をしてしまいました。



生徒会議事録

 モナカ美味しかったです! 柚鈴

 風和先輩にごちそうさまでしたと言っておいてください。 七海

 あんなに美味しい最中は初めて食べた。ご馳走様。 芹沢

 気を使って頂いてありがとうございましたとお伝えください。 美沙

 皆さんのお言葉、一字一句確実に姉さまにお伝えさせていただきます。 笑舞

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