いらい
昨日同様に各役員がそれぞれ自己学習もとい事務作業を行っていると、生徒会室の扉がノックされました。
「どうぞ」
会長がそう答えると、生徒会室の扉がゆっくりと開かれて、姉さまがよく知っている三年生の女子生徒とワタシがよく知っている二年生の女子生徒が入って来ました。
「失礼します。報道部部長の青山天と申します」
「同じく副部長の龍鵞峯一です」
「お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
報道部の二人を迎え入れた会長はそう言うと、生徒会室の中にパーテーションパネルを数個並べて簡易的に作られた談話室へ向かいました。
「笑舞も同席してもらえるか?」
「かしこまりました」
会長に呼ばれたワタシも報道部の二人に続いて談話室へと向かい、会長とワタシ、天先輩と一先輩の並びで向かい合って座りました。
「改めまして報道部の青山です。本日は貴重なお時間をありがとうございます」
「生徒会長の芹沢です。お手柔らかにお願いします」
放送部と新聞部のハイブリットである報道部の長と生徒会の長が改めて自己紹介を済ませたタイミングで美沙先輩が温かい緑茶を出してくれました。
「早速本題に入らせていただきます。報道部で毎週月曜日に刊行している明才新聞に生徒会の活動に関して生徒会長自らが報告する記事を先本前会長の時代から行っているのですが、芹沢会長にも継続して頂けないかというお願いだったのですが、お考えいただけましたでしょうか?」
「生徒会の活動内容を伝える機会を頂けるのは生徒会としてとてもありがたいことではあるのですが、お恥ずかしい話、文才が無いものですから」
「お気持ちはわかりました。しかし、こちらとしては明才新聞の人気記事を一年で終了するわけには行かないという気持ちもありますので、お考えいただけませんか?」
「横から申し訳ありませんが、その記事は必ずしも生徒会長が書かなくてはいけないのでしょうか?」
「1年1組書記の小柳橋笑舞、風和の妹でしたね。昨年は先本前会長に記事を書いていただいていましたが、会長以外の役員が記事を書いたとしても問題は無いとアタシは思いますが、一はどう思う?」
「ウチも問題は無いかと」
「もし、会長が辞退するのであればワタシが努めたいと思うのですが……」
横から口を出して、好き勝手に話を進めすぎたと感じたワタシはゆっくりと顔を横に向けて隣に座っている会長の顔色を窺いました。
「俺に依頼された仕事を任せてしまう形になってしまうのは本当に申し訳ないと思うけど、個人的な感情としてはやってくれるのなら助かる」
「芹沢会長、この案件は報道部から小柳橋書記に依頼するという形を取らせていただいてもよろしいでしょうか?」
「笑舞本人がそれで良いのであれば」
「ワタシはそれで問題ありません」
「では、早速打ち合わせを行いたいのですがお時間の方は大丈夫でしょうか?」
「ワタシは問題ないです」
「談話室もこの後は使用予定がないので打ち合わせを行うのなら使ってもらっても構いません」
「では、遠慮なく使わせていただきます」
それからおよそ一時間ワタシはどのような内容の記事を書けば良いのか、記事の提出期限はいつまでなのかなど、細かな説明を受けました。
生徒会議事録
説明を受けている間にワタシの仕事を片付けて頂いたようなのですが……。 笑舞
わからないことは美紗に教わりながら俺が終わらせておいた。報道部の依頼任せてしまって申し訳ない。 芹沢
手伝えることがあればいつでも言ってね。 美沙
ワタシも手伝います! 柚鈴
ナナも手伝うから何でも言って。 七海
ご迷惑はお掛けしないようにしますが、ありがとうございます。 笑舞
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