背伸び
我ながらちょっと、いやかなり背伸びをしてしまったと思う。僕ぐらいの大学生の身分なら、女性を誘うと言ってもせいぜい居酒屋ぐらいだろう。なのに、僕たちの今いるお店は驚くべきことにコースしかないようなところだった。
幸いなことに、目の前に座っている彼女はとても喜んでくれているようだ。普段食べることのないような料理が運ばれてくる度に目を輝かせている。正直なところ、ろくに下調べもしないで目についたお店に入っただけなのだけど、少なくとも失敗ではなかったらしい。
楽しく話をして、美味しい料理を堪能して、あっという間に時間は過ぎていく。デザートを食べ終え、彼女がお手洗いに立った隙に会計を済ませる。一食分にしては目を見張る額を支払って席に戻る。
きっと僕の背伸びは彼女にも見透かされているのだろう。それでも構わなかった。彼女が僕の誘った食事で笑顔になってくれた。それで良かったんじゃないかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます