第34話 桜色の着物

最後に一際目立つ着物があった。

白い和紙に包まれた京都老舗の

名前が書いてあった。


「ああ、それは光寿郎様の

着物よ。

紋付袴なの、後でお部屋に

持って行くから開けないでね。」


「ああ、分かりました。」

結菜は光寿郎が着る着物と知ると

ちょっと興味が湧いて来た。

少し中を除くと九条家の家紋梅鉢が

青い上着の胸の辺りに丸い輪に白い

梅が見えた。


ふと着物を抱え上げた時



光寿郎の着物の下に

綺麗なピンクの和紙に包まれた

着物があった。


「あの?これって?」


「あ、何かそれも光寿郎様の

お部屋に持って行くように

たのまれてたわ‼」



「早くかたづけちゃおうか?

今から持って行こう。

高いって分かってるから注意してね。」


「え?あのー私も行くん

です・・・よね?」


「当たり前、行くわよ。」


光寿郎の部屋は最上階の家族が

滞在するための部屋があるようで

フロントから案内人がやってきた。


日本語堪能な現地の人で

40位の背の高い、がっちりとした

男性だった。


彼の後を着いてエレベーターに

乗る。


コンコン


事前に連絡してあったのか

ドアはすぐ開いた。



「お着物お持ちしました。」


坂本さんの声に若い女の

人が出て来た。


結菜は直ぐ桜だと分かった。

(ㅎωㅎ)じーっと見る

こんなに近くで見る桜🌸🌸は

beautiful


「あ‼、光寿郎今シャワー浴びて

いるのよ!

適当に置いておいていいわ。」


結菜と坂本は言われたように

ソファーに着物を置くと直ぐ

気をきかせて部屋をあとにした。


「アレ、ぜーったい彼女の着物よ

光寿郎様が誂えなさったんだわ

美人だったわね。」


「(( ̄▽ ̄;;)ア、ハハハハ…確かに‼

美人でした・・・ね。」


「山科さん。

部屋で見た事は他言無用よ‼

私たちは九条家を守る義務が

あるの、主のスキャンダルは

九条家のスキャンダルなのよ。


何人いるか分からない使用人の

生活があるんだから・・・

ね。(´≖ω≖`)分かった‼」


念をおす坂本さんは、


「も、勿論デッス‼」💦


と言うと安心した顔を

見せた。

顔に似合わず律儀なのだと感心

した。





風呂を上がると桜が着物を羽織って

いた。


「あれ?それどうしたの?」


「なんか一緒に持って来てあった。

どう似合う?」


桜はピンクの着物に桜の花びら

が舞うようにデザインされた

着物を羽織りながらフルフルと

回転し、にこやかに微笑んだ。



「本当綺麗だよ。

桜が桜の花のデザインの

着物を着ると

マジ見とれるよ。」


上半身裸の光寿郎はフェイスタオル

で髪を拭きながら笑う。



「どうして?」


「え?」

髪を拭きながら手を止める。



「私じゃダメなのかな?」

桜がポツリとつぶやいた。


・・・


「桜には、もっといい男が

現れるサ。」


光寿郎は桜をハグした。

昔のような懐かしいバグに桜の

心は揺れてしまう。


ただ違っていたのは

あの小さな光寿郎ではなく

大人になり、鍛えられた胸板が

余計桜を熱くしていた。


思わず光寿郎の胸に顔をうめる。


「大好きなのに・・・💦」



すると無造作にドアが空いた。」




・・・ガチャ


「あ、あの忘れ

物をおと・・・おと、どけ・・に‼」


「💥💢💥いきなり入って来る💢

・・・な‼だれだ‼」


桜を抱きしめながら、怒鳴って

しまった。


「鍵は椿さんにもらってまして

し、失礼しましたー

お邪魔さまーあああぁぁー。」


今の?今のは結菜・・・💦

ま、まさかな!

ついに幻を見るまで落ち込んだか?


桜はキョトンとして俺を見た。


「そんな怒る事?あの子

ビックリしていたわよ。」


「えっと、ちょっと待つてて‼

ヤッパ、どう見ても結菜だよナ

(;;°;ё;°;;)」

ドタバタと上着を羽織り外に出る。

フロントに行き、九条家家政婦

名簿を見せてもらう。


家政婦名簿に結菜の名前は

載っていなかった。


「他人の空似か!」


九条家の家政婦名簿ではなく

本家椿の客人として山科結菜

とあるのを光寿郎は見落としていた。


あの桜の着物も、パーティの結菜の

着物として椿が誂えた物だった。


山根と二人で京都まで出向き

結菜と光寿郎をびっくりさせようと

二人で仲直りをさせるために

椿と山根が考えたsurprise計画だった。


青い紋付袴に、映えるようにと

沢山の人の手を借り知恵をかり

選びに選んだ着物だったのだ。


「ねえ、光寿郎コレ明日

着てもいい?

気に入っちゃった❤」


「うん。

良いんじゃない?

持って行けば、桜に良く似合うし

桜の為の着物みたいだよ。」


「ありがとう

嬉しい」


「着物も着る人がいて

喜んでるんじゃないかハハハハハ。」



「うん、じゃあ帰るね。

光寿郎私・・・

・・・ヤッパリ諦めないから。」



「え?・・・」


パタン

最後の桜の捨て台詞は

光寿郎の部屋に響いた。



朝七時に家政婦は集合した。

朝から坂本さんに叩き起され

6時には紫の着物を坂本さんが

着せてくれて髪もアップにして

もらった。



赤い襦袢の半衿に紫の着物

黒縁メガネをかけて、家政婦の中に

潜り込んだ。


列の最前列には光寿郎の父親

藤重郎は、頭をワックスで

後ろに流し

黒の紋付袴を着て光寿郎に似て

背が高くイケメン。

今も凄くモテそうに見える。


の横にはドッカの上流クラブの

ママさんかと思うような

色っぽい薄桃色の着物を来た光寿郎

の母、楓がいた。



九条家当主の挨拶が終わると

祖父宗十郎の挨拶が始まった。


「今日は私の米寿の祝いに

来てくれてありがとう


私も88迄生きて来ましたがまだ

曾孫の顔を見せて貰えず

それだけが心残りです。」


ライトが光寿郎に当たる。

一瞬えっΣ(ㅇㅁㅇ;;)エッと、気まず

そうな顔をして、苦笑いで

誤魔化していると会場から

ドッと笑いがおきた。


「それでですが

後半は、ダンスパーティに

変更しますので我が孫と、

踊って、我こそはと思う

女性は名乗りを上げて欲しいと

思います。(笑)


会場は又ドッと湧いて女の子達は

どよめき立ち化粧治しをする

若い娘の姿があちらこちらで

増えていた。



結菜はシッカリと仕事をこなす

お酒もキャバクラにバイトしてる

せいか、呼び止められお酒を

頼まれてもよく分かる。

(もと高級キャバで良かった)


甲斐甲斐しく動き回る結菜に

セレブの男子も目を向ける。


(あの子可愛い。)

少しづつ結菜はセレブに囲まれる

ようになっていた。



「山根、山根、結菜が居ないのよ

探してちょうだい‼﹏」


「えっ、私も今日は見てません。」


「困ったわね。

早く着替えさせないと

せっかく誂えた着物が台無し

じゃない。」


「早く探して光寿郎の部屋に

連れて来てちょうだいね。」


「はい。

奥様。」


山根と椿の慌てようをよそに

会場を綺麗な仕草で

結菜は、駆け回っていた。


いよいよダンスパーティが始まった。

沢山の男女が踊っていた。


真ん中では光寿郎がセレブの娘達

と次から次に申し込まれるまま

踊っている。


““綺麗だな!“


着飾った娘達はみんな美人だ‼

光寿郎も青い紋付袴からグレーの

上下のスーツに着替えて

髪もワックスで流し、自慢の切れ長の目で女の子達を次々に

ノックアウトしている。


「結菜は結菜はまだ見つからない?」


「はい家政婦長も見ていないそう

です。」


「分かった、光寿郎を呼びなさい!」


「今又御相手をチェンジされて

このワルツが終わる迄待ちま

せんと・・・💦」


「分かったわ。」


「ああああぁぁー👈奥様

あの・・・💦お着物は?👈」


「なに?どうしたの?山根」

椿は指さされる方を見てみると


桜と光寿郎が踊っていた。



結菜のために誂えた

着物を桜が・・・ガ━l||l(0Δ0)l||l━ン

着ていた。


思わずヨロける椿を

山根が支えていた。


2人は圧巻のダンス、

ラストダンスを披露した。


光寿郎と桜の周りは誰も居なく

り二人は注目の的になっていた。


ほぼ決まりな流れが2人を包んだ。

見惚れる人も多く、

大拍手があちらコチラで

湧き上がっていた。


いよいよお開きの後

「2人を暖かく見守ってくだされ」

九条宗十郎は、笑いながら

挨拶をした。


光寿郎は否定も肯定もしなかった。

結菜はこれが光寿郎の意思なの

だと受け入れてしまった。


パーティの後、セレブ男子に

囲まれている九条家の家政婦が

いると友人のロバートから話

を聞いた。


「そんな子いたっけ?」

光寿郎が不思議がっていると

ロバートが写メを見せてくれた。


「俺好みなんだよな﹏

日本まで行ってアタック

しょうかな﹏彼女と別れたし

・・・」


「良いんじゃない、ウチの子なら

紹介してあげるよ。

どれどれ!」


(๑⊙д⊙๑)・・・💦



「まだコッチいるよな、

紹介してくれよ

めちゃくちゃ可愛い

絵本から飛び出てきたかと

思ったぞ」


「ちょっと・・・

待ってて💦」

光寿郎は急いで椿の部屋へと

急いだ・・・


ドタバタドタバタドタバタ

バ━━━━━━━━━━━━ン


「💦おや、光寿郎( ☉_☉) パチクリ。」


「バッ、バ━━━━━ちゃん

結菜・・・来てるの?」


「きてるよ、それに結菜の着物

光寿郎誰にあげたんだい。

おかげで結菜に着せる着物が

なくなったじゃないか」


「あっアレ?結菜のだったの?」


「そうだよ、アンタに連絡しょうも

出ないし」


「結菜ずーっと会場で、仕事

していたらしいよ‼

このバカチン٩(๑`ȏ´๑)۶」



「ど、どうしょう‼(✘﹏✘ა)」

光寿郎は腰が引けてブツ倒れ

そうになった。


「今結菜は、何処にいるんだ?」


「さあね!💢💢

モテていたからどっかのセレブ

が持って行ったんじゃないか?

私も何人にも言われたよ


正式に付き合いたいから

紹介してってね‼」


「(꒪꒳꒪;)・・・💦」


「あのジジィもジジィだよ‼

全く相談無しなんだからね。」


「俺、探してくる‼」

光寿郎は血相を変えて出て行った。

はて、さて

結菜を見つけられるのでしょうか‼




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