第10話
「シャドウステップ??」
「それよそれ、アンタさっき足真っ黒にして動いてたの」
「くそ〜、スキル一番乗りはカイかよ。俺がなりたかったのに!」
「おめでとう、カイくん」
「俺が、スキルを」
震える手でスキル欄をタッチすると
シャドウステップ
・気配、足音を消して移動することができる。
・スキル使用時素早さが上がる。
・スキル使用時はマナを消費し続ける。
ステータスプレートにシャドウステップの詳細が出た。
「本当にスキルが…」
意識してみると、なんとなくスキルの使い方が分かる。まるで、元々知っていたかのように。
しかもこのスキル、短剣を装備してないと使えないっぽい。
「どうしたのよ、浮かない顔して。嬉しくないの?」
「いや、このスキル短剣を装備してないと使えないみたいなんだよ」
「なんだ、そんなこと?それならメイン武器短剣に変えたら?ライエルと役目被ってたし」
レナに痛いとこを突かれる。2人ともルークに剣を習っていたせいで似たような役目になっていたのだ。ゴードンもルークに習ってたけど、盾持ちなので戦い方が違ってくる。
「んーー、どうしようかな」
「カイくん素早さ高いし器用だからいいんじゃないかな?」
「さっきもモグラやろうの急所刺してたし、むいてんじゃね?」
「よし!剣も折れちゃったから、とりあえず短剣でやってみるよ。せっかくのスキルだし、使わないともったいないもんな」
とりあえず短剣で戦うことにした。断じて煽てられて調子に乗ったわけではない!
ひと休憩してから爪と魔石を剥ぎ取って村長の家へと戻った。
「村長さん、討伐完了しました。」
爪と魔石を見せて爪モグラを倒したことを教える。
「おお!!ありがとうございます!」
「いえ、畑荒らしちゃってすみませんね」
「なんのなんの、元々魔物に荒らされてますからね。気にせんといて下さい。それと、これが爪モグラ2匹分の金貨6枚と依頼書です。本当にありがとうございました。」
依頼書にサインを書いて渡してくれた。
「やったな!初クエストクリアだぜ!!!」
「僕も今、初めて冒険者になったって実感したよ」
「そうね、いい気持ちではあるわね」
「初クエストだったんですか?お疲れ様です。どうですか、今日は村に泊まっていきませんか?精一杯もてなさせて頂きますよ」
初クエストだと知ってから村長の食いつきがすごい。
「いえ、今日は帰らせていただきますね。実はテミアに宿をとってまして、戻らないと心配させてしまうので」
「そうですか、残念です。またいつでも立ち寄って下さい。」
「ええ、そうさせて頂きます。ではまた」
村長に別れを言ってから家を出る。
「なんか、あのおっさん急に優しくなったな」
「あれはあれね、村のお抱え冒険者にしようとしてたのよ。この辺は爪モグラ以上の魔物はほとんどいないから、私たちと仲良くなっておけばとりあえずは大丈夫ってことなんでしょ」
「あー、そういうことか。」
「お姉ちゃんたち悪いやつやっつけてくれたんでしょ!!お外で遊べるようにしてくれてありがとう!ママも喜んでたよ」
「本当にありがとうございます。よかったらこれ食べて下さい。」
先程の親子がお礼にと蒸かし芋を渡してくれた。ろくに外に出れずに生活は厳しいだろうに…
「ありがとうございます。帰り道で食べますね。ボクもありがとうね。」
「僕も大きくなったらお兄ちゃんとお姉ちゃんみたいになれるかな?」
「なれるさ!強くなってママを守ってやるんだぞ」
「うん!モグラだって一撃で倒してやるんだ」
「そうかそうか、ならたくさん頑張らないとな」
そう言って頭を撫でる。この子を見ているとノアを思い出す。
まだ村を出て数日だけど、元気にやってるかな?
やってるといいな。
「バイバーイかっこいいお兄ちゃんに可愛いお姉ちゃんたちーー」
「おう!ガキンチョ強くなるんだぞーー」
「この村の専属みたいのになるつもりは無いけど、あの子に会うためにクエスト受けるのはいいかもね」
レナは小さい子には女神のまんまだなあ
「リーダーもそう思うわよね???」
「ハイ!ソウオモイマス!!」
レナの視線とあったかい蒸かし芋を味わいながら街に戻る。
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