第5話
俺たちが8年間、家の仕事を手伝いながら修行した結果はこれだ。
名前:カイ
攻撃力:13
防御力:11
魔力:10
素早さ:13
―スキルー
名前:ライエル
攻撃力:14
防御力:10
魔力:12
素早さ:13
―スキルー
名前:ガーゴン
攻撃力:12
防御力:15
魔力:9
素早さ:9
―スキルー
名前:レナ
攻撃力:7
防御力:9
魔力:18
素早さ:11
―スキルー
うーーん。微妙だよねこれ。8年間頑張ってこれ?って思っちゃっても仕方ない。でも、ステータスって本当に全然上がらないんだ。それでも、頑張りが目に見えるのはやる気が違ってくる。まあ、普通くらいらしいけど。
もし、冒険者を目指すなら、成人した段階で前衛なら魔力を除いた数値の合計が40。
後衛なら、魔力の値が20はあったほうがいいらしい。
俺たちは全員落ちこぼれってわけだ。
といってもこれは一種の指標らしくて、実際には剣技や魔法スキルの熟練度によって変わる。
だいたいこの世界のステータスってちょっと変だよね。HPとかMPとかもないし、せっかくステータスがあるのにあまり重要視されていない。師匠にも「数字に囚われすぎんことじゃ」って言われたしね。
そんな、落ちこぼれ英雄志望の俺たちは今日、冒険者としての第一歩を踏み出す。
「おいおい、いつもギリギリでくるのに今日は一番乗りかよ」
「カイくんもやる気満々ってことだよね」
「やる気なら私も負けないわ!」
いかにも駆け出し冒険者ですっていう格好3人。
この8年でライエルとレナは美男美女に成長した。前世で学校にいたら噂になっただろう。
だが、1番変わったのは間違いなくゴードンだ。ぽっちゃり"イエロー"風だったゴードンだが、今では、脂肪は全て筋肉に変わり、ワイルドイケメンになっていた。
この世界イケメン多くない?この村だけなの?
っていう俺もイケメンだけどね!!!
「ああ!行こうぜ!!イケメン冒険者王に俺はなる!」
「「「…………」」」
沈黙。3人に冷ややかな目を向けられる。ふんっ、3人には男のロマンは少し早かったみたいだな。1人女の子だし。…
「にいにーー」
沈黙を破って現れた天使。マイスウィーーーーートエンジェルこと俺の妹のノアだ。
駆け寄って俺に抱きついてくる。ノアもすっかり大きくなって今年でもう8歳だ。
「にいに本当に行っちゃうの?」
かわいすぎます。もう行くのやめちゃおうかな?
いいや、俺は冒険者王にならないといけないんだった!危ない、9年の修行が無駄になるところだった。恐るべし天使パワー
「ごめんな、ノア。にいちゃん立派な冒険者になって帰ってくるからまっててくれ」
俺はなんとかそう答える
「なんでー?冒険者っておうちが無い人とかヤバンジン?がするお仕事なんでしょ?にいにはヤバンジンなの?」
そう、冒険者のほとんどは冒険者にならないと食べていけないので、仕方なく冒険者をしている人や力を持て余している野蛮な奴らが多い。
きっと、行商人か吟遊詩人にでも教わったんだろう。間違ってはいない。決して間違ってはいないが妹に野蛮人だと思われるのは絶対に嫌だ。誤解を解かねば
「違うぞノア。冒険者にも立派な人はいて兄ちゃんたちはそれになるんだ」
「そうだよね、レナねえもいるしヤバンジンじゃないよね」
あれ?この言い方だと、これレナが居なかったら野蛮人だと思われてたの?
「そうよ、さすがノアちゃん頭がいいわねー」
ノアはもう俺のことはそっちのけでレナと戯れあっている。
「カイ」
「父さん、母さん、」
俺がノアのことでショックを受けていると2人が駆け寄って来てくれた。
「途中で帰ってきたら承知しねーぞ!英雄ってのになって堂々と帰ってきやがれ!」
「カイ、身体に気をつけるのよ」
そう言って2人は俺に抱きしめてくれた。ノアもいつの間にか一緒になって抱きついている。
俺、、チートは無かったけど、きっと恩返しできるように頑張るよ…
俺は3人を抱きしめ返してそう心に誓った。
しばらくそうしてから周りを見ると3人も親へ別れの言葉を言い終わったみたいだった。
「「「「行ってきます」」」」
俺たちは村の人々にそう言って村を出た。
15年間1度も出たことのなかった村を。1つ心残りがあるとすれば師匠が見送りに来てくれなかったことかな。まあ、師匠らしくていいよね。
待ってろよ冒険者の始まりの街。”テミア”
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