第111話 報復-2
ユウゴから「退学になっちった」と言う言葉を聞くと、大地は「だから言ったろ!今からでも遅くねぇから、本当の事言うべきだろ!」とユウゴに怒鳴りつけた。
「だからさぁ、んなことしたら、そこにいる野村の思う壺だろって。山本みたいに、美香が退学するまで変な噂流されんぞ?しかも、美香は生活指導員に目付けられてんだろ?本当のことを言ったところで信用すると思うか?」
ユウゴの言葉を聞き、大地は悔しそうにこぶしを握り締め、野村の方を振り返り、殴りつけた。
「1年の二人に本当のことを言わせるのは?」と聞くと、ユウゴはハハっと笑った後「『美香を犯そうとしたら、止めに入った大地に殴られました』なんて言うと思うか?」と、淡々と答える。
「でもそれじゃあ…」と言いかけると、ユウゴは「これをきっかけに、大地の念願達成できればいいんじゃね? あの学校、暇すぎて飽きてたところだし、遅かれ早かれってところだな」と、あっさりと言うだけ。
浩平が「もしかして大地って…」と言いかけると、大地は再度野村を殴りつけ、「2度と妙な噂を流すな」と言ったんだけど、野村は半泣きになりながらも「暴行で訴えてやるからな!」と言っていた。
大地は大きくため息をついた後、「やってみろよ。美香と山本に名誉棄損で訴えさせる。親父の顧問弁護士に頼めば一発だろうな。お前の場合、暴行教唆も付くんじゃねぇのか」と言い、野村を睨んでいた。
野村は大地の言葉を聞き、ガタガタと震えているだけだったけど、ユウゴは「暴行教唆って何?」と聞いてきた。
大地はため息をつき「こいつのやったこと。何が合言葉だよ…いきなり『タダってマジ?』なんて聞かれたら、誰だって『何が?』って答えるだろ。ふざけやがって…」と悔しそうに言っていた。
野村は泣きながら「すいませんでした… もう二度としません」と言い、その場に蹲っていた。
翌日、美香が学校を休むと、一瞬にして「妊娠したんじゃ?」と言う噂が広まっていた。
けど、大磯は「肺炎で入院してるって。昨日帰ったら高熱出して倒れたみたい。美香、限界来るまで我慢しちゃうタイプだからねぇ」と、ため息交じりに言っていた。
その日以降、大地は『美香が妊娠』と言う言葉を聞くたびに、その話をしている奴らのもとに行き、睨みながら「肺炎だろ?肺炎」と言い、そいつらは大地の凄みに圧倒されて小さく「はぃ…」と言うだけ。
大地のおかげか、美香の噂はすぐに消えたけど、美香が学校へ来ることも、大地が部活へ行くことも無くなっていた。
それと同時に、今まで好き勝手に噂を流していた野村は、誰も寄り付かず、孤立してしまい、その翌月には自主退学をしていた。
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