第73話 罰

私と3人のOPが完成し、ヒデさんに火が付いた後、ヒデさんはすぐに指示を出し始めた。


テキパキと慣れた感じで的確な指示を出し、その指示通りにみんなで作業をする。のは良いんだけど、一旦ついてしまった火はなかなか鎮火してくれず…


ヒデさんはみんなに指示を出し、気が付いたら寝室へ。


みんなはそれに気が付き、ぞろぞろと寝室に向かっていたんだけど、中途半端なところで終わらせるのは気持ち悪い。


軽い頭痛を感じながら、半分しか開かない目で、一人黙々と作業を続けていた。


『眠い…』と思いながら作業を続けていたんだけど、とうとう限界が来てしまい、あと少しの状態のまま、寝室に向かう事に。


寝室に向かおうとしていたんだけど、立ち上がる体力さえなく、誤ってクッションを踏んでしまい、転んだまま立ち上がれず。


頭の中でずーっと『布団』と言う言葉だけがグルグルと繰り返されている中、両膝をついたまま、四つん這いになって寝室へ。


入口に一番近い布団の上に乗った瞬間、意識が飛んでいた。


横を向いて眠っていると、腕の上に重みを感じ、目を開けないまま『重い… カオリさん… 足が乗ってる…』と思っていた。


目を閉じたままで足を退かしたんだけど、カオリさんの足は再度私の上に。


目を閉じたまま、何度も退かしては乗り、退かしては乗り…


『もう… 移動しよ』と思い目を開けると、誰かの腕が乗っていた。


ボーっとしたまま『けいこちゃんの腕ってこんな太かったっけ?』と思い、横になったまま腕がぶつからない位置に移動し、再度就寝。


しばらく眠っていると、またしても重みを感じ、目を開けると腕が乗っていた。


『けいこちゃん重い…』と思いながら寝返りを打ち、少しだけ目を開けると、木村君の寝顔が視界に飛び込み、びっくりして目が覚めてしまった。


心臓がバクバクいう中、『びっくりした… けいちゃんじゃなかった…』と思い、起き上がろうとしたんだけど、腕が重すぎて動くことが出来ない。


『力入れてる?え?もしかして起きてる?』そう思いながら腕を動かそうとしても、ピクリともしない。


起きていることを確信し、もう一度寝返りを打って逃げ出そうとすると、木村君の手が私の体を引き寄せ、抱きしめられた。


同じ布団でぴったりとくっつき、抱きしめられていると、心臓が痛いくらいに暴れまわる。


しばらくすると木村君の腕の力が抜け、やっとの思いで逃げ出すことが出来た。


すぐに起き上がって洗面所に行き、心臓を落ち着かせるために顔を洗っていると、木村君が洗面所に来て「逃げたろ?」と言いながら、隣で顔を洗う。


「びっくりしたんですもん」


「俺もビビった。爆睡してたら上に乗って来るからさ。中ならわかるけど、上だぜ?」


「すいません。目が開いてなくてわかんなかったです」


木村君はクスっと笑った後「だろうな。あ、昨夜途中で寝たから片付けねぇと」と言い、リビングに向かい、作業を始めていた。


二人並んで作業をしていると、みんなが起きてきたんだけど、みんなも同じことを思ったのか、すぐに作業開始。


ヒデさんの指示で作業をしていると、大介君が「思ったんだけどさ、ヒデさんが指揮取ったら前期と同じじゃね?」と…


その一言で全員がフリーズし、カオリさんと監督が大爆笑。


思わず「だいちゃん?そういう事はもっと早く言うべきなんじゃない?」と言うと、けいこちゃんが「これは罰として、来週はパティスリーKOKOの苺タルトだな!」と、翌週の差し入れメニューを命令。


みんなは歓喜の声を上げた後、大介君に向かって「ごち~」と言い、大介君は頭を抱えていた。

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