第4話 知らない番号

しつこいくらいに電話が鳴ったその日の夜。


夕食のおかゆを食べているときに、またしても電話が鳴った。


充電コードを手繰り寄せ、画面を見ると知らない番号。


充電コードが刺さったままの携帯を、当たり前のように枕の下に入れ、静かな環境の中、おかゆを食べ続けた。


テレビはあるけどもう何日もつけていないし、毎日、当たり前のように起動していたパソコンだって、退職してからは電源をつけていない。


近くを通る車の音と、知らない誰かの小さな足音。


そしてかすかに聞こえる着信音だけが、耳に入っていた。


食事を終えた後は薬を飲み、シャワーを浴びる。


本当はシャワーを浴びる気力もない。


けど、以前、全く生活音のしないことを、隣に住む大家さんが心配し、様子を見に来てしまったので、これだけはやらなきゃいけないと思っていた。


シャワーを浴びた後、ベッドに腰かけると、またしても携帯が鳴り、知らない番号が表示されていた。


『静香?だったらメールかラインしてくるよね。じゃあ誰?間違い電話に気付いてない人?間違いって教えてあげたほうがいいのかな…』


携帯を眺めながら少し考え、ふーっとため息をつく。


1日中、同じ番号から鳴り続けているから、勧誘や詐欺的なものではないはず。


番号が080から始まっているから、誰かの携帯ってこともわかってる。


『じゃあ誰?前の会社の人?みんなアドレス知ってるし、メールのやり取りがメインだったけどなぁ…』


考えている間も携帯は鳴っては止み、鳴っては止みを繰り返していた。


あまりにもしつこく鳴り続けていたので、無言で渋々出てみると、「もしもし?」と、男性の声が聞こえてきた。


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