第3話 買い物
静香から電話があった翌日の昼下がり。
『今日こそ買い物に行かなきゃなぁ』と思い、外出する準備をしていた。
昨夜は空のシャンプーボトルに水を入れて薄め、辛うじて頭を洗うことができたけど、今日もその方法が通用するわけない。
『行くかぁ・・・』
力なくため息をつき、ジャージからジーンズに着替えている最中、携帯が鳴り、見知らぬ番号が表示されていた。
基本的に知らない番号は出ない主義。
だけど、あまりにもしつこく電話が鳴るので、携帯を枕の下に隠し、買い物に出かけた。
買うべきものだけを買い、まっすぐに帰宅するだけ。
それだけなのに足が重く、日差しが刺すように痛い。
近所にあるドラッグストアまで、徒歩で3分程度なんだけど、すでに1時間以上歩いているように思えるくらい体が重い。
『早く帰って寝よう』
さっさと買い物を済ませ、途中、倒れそうになりながらも、重い体を引きずるように帰宅。
30分もかかっていない行動なのに、丸1日、フルタイムで働いたくらいの疲労感が、どっと押し寄せてきた。
家に入った途端、買い物袋を力なくその場に置き、ベッドに倒れこんだ。
すると枕の下から携帯の鳴る音がした。
寝転がったまま、携帯を枕の下から取り出してみると、さっきの知らない番号だった。
『しつこい・・・』
電話に出ることはなく、携帯をその辺に落とし、目をつむるだけだったんだけど、その間、しつこすぎるくらいに、携帯は鳴り続けていた。
鳴っては切れて、鳴っては切れてを繰り返し、数十分ほど経った後に電話が鳴らなくなった。
『電池切れたかな』
そう思っても、電話を拾い上げる気力すらなく、微動だにしないまま、ベッドに倒れこんでいた。
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