第2章 インターン編

第17話 2月の激闘。

 (絶対にアイツには負けたくない。)


 心臓が早鐘のように鳴り打っているのを感じ、見山は深呼吸をした。


 周りには同じ班のメンバー3人が座っている。全員見山と同じく、緊張の面持ちで会議室正面を見つめている。そこには別の班の学生が4人並んで立っていた。


「A班の発表は以上になります。ありがとうございました」


 会議室正面に並ぶ学生の1人が頭を下げると、学生たちが一斉に拍手をした。この会議室では学生たちが4人1組、6つの班に分かれ、班ごとに席に着いている。


 ふと、会議室正面に立っていたオールバックの学生と目があった気がした。


 「それでは、続いてB班の発表になります。ご準備をお願いします」


 見山たちB班のメンバーが立ち上がり、会議室正面に向かう。設置されていたホワイトボードに、先ほどのグループワークで作成した模造紙を貼り付ける。


 「発表の順番は大丈夫かな」


 B班の男子学生の言葉に全員が頷く。その彼は、手元に持っていたマイクを見山に手渡した。


 「まーまー、みんな緊張しないでぇ」


 女子学生が場の空気をやわらげようとする。彼女は黒髪をまとめ、頭の後ろでお団子にしている。


 「やることやったし、自信持って発表しようぜ!」


 もう1人の男子学生が発表への意気込みを語る。


 「うん、頑張ろう」


 見山は自分が柄にもなく力んでいることに気づきながら、メンバー全員に励ましの言葉を送った。


 準備が整い、B班のメンバーは整列して前を向いた。眼前には5つの班の学生たちが座っている。総勢20人の視線が、見山たちB班のメンバーに突き刺さっている。


 「それでは準備はよろしいですかね?」


 司会の人の言葉に対し、B班のメンバー4人は頷いた。同時に、見山は血が冷たくなるような感覚を覚えた。


 インターンで人前に立ち、何かを話すのはこれが始めてだった。


 「それではB班の皆さん、よろしくお願いします」


 ざわついていた会議室が静まり返る。見山は時が止まったかのような感覚に陥った。口がうまく動かない。焦る。視線が泳ぐ。


 そんな時、ある言葉が頭をよぎった。


 『失敗しても良いから、後悔がないようにちゃんと思ったことを言えよ』


 頭の中でその言葉を反芻し、そして見山は口を開いた。


 「私たち、B班が提案する商品は――」





△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 見山:レベル?

 B班メンバー1:レベル?

 B班メンバー2:レベル?

 B班メンバー3:レベル?

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

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