異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学園で底辺生活を送ってたらいつのまにか英雄視され美少女に囲まれてた件~
第201話 第2部、はじまりはじまり……つってね
第201話 第2部、はじまりはじまり……つってね
よっしゃあっ!
ってな感じで、さっきまで俺のモチベーションはかなり高いところに位置していた。
それがカード村の門の前まで来た瞬間、上々だった気分は海抜あたりまで急降下してしまった。
なぜかというと、むさ苦しいおっさん達に囲まれてしまったからだ。
いや、ただのおっさん達なら別になんともなかった。けど、俺を取り囲んだおっさん達は皆一様に可愛らしい猫耳としっぽがついているのだ。それも、長毛種でかなりモフモフなやつだ。メインクーンみたいな。
「誰だお前らは! こんな時間に何の用だ!」
いかついヒゲ面マッチョの猫耳中年男性達が、斧を持って威嚇してくる。これが落ち込まずにいられようか。
溜息。
「スキルを持たぬ獣人風情がなにを偉そうに。我々がいつ何をしに来ようと勝手だろうよ」
隣に立つフェザールが居丈高にそんなことを言う。
その発言には思うところがあるけども、俺は口を挟まない。これがこの国のスタンダードだ。スキル至上主義の王国において、スキルを持たない獣人は劣等種だからな。
「バカが! この状況が分かってねぇのかよ! ニンゲン!」
フェザールの言葉がおっさん達の逆鱗に触れたようだ。警告もなく、彼らはフェザールに襲いかかった。
フェザールが攻撃魔法を構築する。おっさん達も何やら魔法を使いそうな感じだ。
あ、完全に巻き込まれるやつだこれ。
「待ちなさい!」
今まさに戦闘が始まろうとしたその瞬間。突如として女の声が響いた。
おっさん達の動きが、ぴたりと止まる。
村の門から、人影が暗闇をかき分けて現れた。ノースリーブのメイド服。健康的な褐色の肌。艶やかな黒いショートカット。
「ルーチェ……」
我が家のメイド長。ソルヴェルーチェ・ウル・ダーナだ。
おっさん達も振り返る。
「どうして待つ必要があるんだ! こいつらは人間だ! 我々の敵だぞ!」
叫んだおっさんに、ルーチェが鋭い目を向ける。
「口を慎みなさい。そこのお方は、我らが盟主サラの主であらせられる」
「なっ……!」
おっさん達に驚愕が波及する。
「じゃあ、こいつ……いや、このお方が、ロートス・アルバレスだってのか」
「あなた達に暴言は吐かなかった方よ」
おっさん達がざわつく。
「えーっと」
話が読めないな。
「ロートスくん。絶対に来ると思ってた」
ルーチェは俺の前まで来て、にっこりと笑う。その笑みはどこか疲れが滲んでいて、ひどい心労を感じさせる。
「ルーチェ。一体なにが起こってる? どうして急にいなくなったんだ」
「ごめんなさい」
ルーチェが目を伏せると、頭にのったヘッドドレスがちょこんと揺れた。
「サラはここにいるのか」
「うん……詳しくは中で説明するね。どうぞ」
ルーチェは身を翻す。
「あ、そうそう。お連れさんは村には入れないの。申し訳ないけど」
俺はフェザールを見る。
「まぁ、仕方ない。戦わなくていいのなら、その方がいいだろう。ロートス、俺は一度機関に戻ることにする」
「わかった。ここまでついてきてくれただけで嬉しいよ。ありがとう」
フェザールに背を向け、村の中へ入っていく。
真っ暗なので村の様子はわからないが、こじんまりとした村だったことは憶えている。アインアッカ村よりも一回り小さい。昔、何度か来たことがあるのだ。
ちょっと歩くと、大きめのテントに辿り着く。
「ここが、亜人同盟の本拠だよ」
ルーチェが手で入室を促す。
「なんか、思ったよりしょぼいな」
「あはは。そうかも」
ルーチェと一緒にテントの中に足を踏み入れる。
中は煌々と魔法の灯りが焚かれていて、昼間のように明るい。
「これは……」
だが、俺が驚いたのは、中央に鎮座する巨大な青いクリスタル。その中で眠る、素っ裸のサラの姿だった。
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