徒花に実は生らぬ
女はひどく腹を立て
女は
それは顔の
心の内がひどく醜い女だったのです。
自分勝手で自己中心的な考え方しかできない。
まるで物語の悪役を絵に書いたような。
そんな醜い心の持ち主です。
その女は今、怒りに震えていました。
何もかもうまくいかない。
どうして自分がこんな思いをしなくてはならないのか。
このような
全部、あいつらが悪い。
全部、あいつらのせいだ。
私は、こんなにも頑張っているというのに。
周りの奴らも、みんなあいつらに
馬鹿なやつばかりだ。
この世界は
この世界は悪役に
女は歯をぎしりぎしりと
次の
周囲の人間を見返してやる。
こんなところでは終われない。
まずは、自分の道具の使い道をきちんと考えなければいけない。
それから、
どんどん追い詰めてやる。
あいつらの顔を、苦痛で歪ませてやる。
女はふと違和感に気づきました。
どれだけ歩いても、誰ともすれ違わないのです。
この時間なら、
誰もいない。
なぜ?
違和感はだんだん
ビルにも駅にも線路に止まっている電車の中にも誰もいない。
人っ子一人みつからない。
女の顔が、先ほどまでとは違う感情で歪んでいく。
「誰かぁ!!誰かいないのぉ!!」
その
誰に届くこともなく
女は何度も何度も叫び続けました。
何日も何週間も何ヶ月も何年も。
誰かに会えることはなく、けれど死ぬこともない。
やがて終わりのない
今までの苛立ちも、腹立たしさも消え去り、彼女に残っているのは恐怖と絶望と
女は壊れてしまいました。
「だれかぁ、だれかいないのぉ?」
返事はない。
「ダレかァ、だレカいナイのォ?」
返事はない。
だレかァ、わたシをミてヨ
「ダレカァ、ダレカイナイノォ?」
それでも女はいつまでも、壊れたからくりのように繰り返すだけ。
「ちょっと、あの人大丈夫なのかな?」
「ちょっと、おねえさん!!大丈夫ですか!?」
問いかける警察官の声は、女には聞こえません。
「ねぇ!大丈夫なの!?担当にゃん!!」
さも心配そうに呼びかける作家の声も、女には聞こえません。
女は
そんな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます