岩子さん
ゆう
岩子さん
これは、俺が実際に体験した事だ。
これを読んだら助けて欲しい。
大学生の頃
友だちに誘われて心霊現象研究部というサークルに入っていた。
活動内容は心霊スポットの探索やLINEグループでの怪談話のやりとりなど
俺自身はまったく興味がなかったので名前を貸すだけで活動には参加せず
たまにある飲み会に参加するくらいだった。
2年生の頃
新入生で文学部の女子岩子が入ってきた。
むさ苦しい理系の男しかいなかったサークルに女子
それも黒髪で透き通るような白い肌
全員が美人認定するに違いないような女の子が入ってくるなんて異例の事だった。
みんなが岩子に気に入られようと必死だった。
これがオタサーの姫ってやつか?と思いながら見ていたが
中でも部長は岩子に入れ込み毎日のように岩子に怪談や心霊の話をしていた。
岩子も楽しそうにそれを聞いていた。
岩子が入って3ヶ月が経った頃
その日は飲み会で、飲み会後部長が近くの心霊スポットに行こうと言い出した。
興味のない俺は帰ったが他のほとんどが心霊スポットへと向かって行った。
もちろん岩子も
それから数日後、友だちから心霊現象研究部は解散するという話を聞いた。
別に困りもしなかったが急な話だったので理由を聞くと
部長に彼女が出来たらしい。
相手は岩子
正直、不釣り合いなカップルだとは思ったがまぁ良かった。
部長は岩子との時間が大切だと言うことで辞め、他は岩子がいなくなったショックで活動どころではなくなりサークルは自然解散となったようだ。
それからしばらくして部長が学校に来てないという話を聞いた。
というより家にもおらず完全に行方不明だというのだ。
痛みで気を失っていたみたいだ
続きを書こう
部長が行方不明になってから2ヶ月後、県内の山で部長の死体が発見された。
登山者が偶然発見したらしい。
部長の身体は全身の骨が折れ関節は曲がり見るも無惨な状態だったらしい。
服装は私服、発見されたのが崖下ということもあり、投身自殺として片付けられた。
そしてそれ以来岩子の姿を見ることもなかった。
岩子が姿を消した事、部長が自殺する動機に一切思い当たる節がなかった事など違和感はあったが好んでする話でもなく、そのまま時間は過ぎていき俺は社会人となった。
俺も友だちも地元で就職し2ヶ月に一回くらいのペースで飲みに行ったりしてだらだら話す。
そんな日々を送っていた。
ある日、友だちと呑んでいると
友『ゆうさ、岩子って覚えてるか?』
と友だちが切り出した。
俺『あぁもちろん。』
あんな事になった部長の彼女だった人だ忘れるわけがない。
友『この前さ偶然岩子と会ったんだよ』
俺『マジかよ』
友『あぁ。部長があんな事になったろ?それでショックで地元の○○に戻ってたらしくて最近またこっちに来たんだって。ほら昔と変わんないだろ?』
友だちはケータイを取り出して岩子の写真を見せてくれた。
そこには昔と変わらず綺麗だが何か寒気のするような笑顔の岩子が写っていた。
俺『あぁ、、、そうだな。』
何か見つめられているような怖さを感じ写真から目を逸らし聞いた。
俺『今岩子は何してるんだ?』
友『こっちで普通に働いてるらしいよ。あっで、まだ怖い話とか大好きで会った時もそんな話ばっかしてたわ笑』
俺『へぇそうなんだ。相変わらずなんだな。』
友『そうそう。で、今度の日曜久しぶりに心霊スポットに行くって話になったんだけどゆうも来るか?』
俺『はっ!?お前岩子と心霊スポット行くのか?やめとけって』
友『なんだよー怖いのか笑?まぁお前学生時代も一回もそういうの参加しなかったもんなー笑俺はお前が来ない方が岩子と2人きりだしそれでもいいけど笑』
俺『おいお前岩子狙ってんのか?やめとけ』
友『なんでだよ。もう部長の事だって何年も経ってんだしいいだろ。学生時代だってお前以外はみんな岩子の事狙ってたんだし、もう時効だろ。連絡先だって交換したし』
俺『そういう事じゃなくてアイツはなんかヤバいんだって』
友『は?何がヤバいんだよ。いい加減な事言うなよ』
そこからはお互い喧嘩になり、話は進まずに気まずいまま解散してしまった。
そしてそこから何となく連絡もしづらく2週間が経った頃、友だちの母親から連絡があった。
友だちと連絡が取れず、何か知らないかと言うのだ。
会社も1週間無断欠勤しており、行方が分からないらしい。
1週間前の日曜日、友だちは姿を消した。
そして1ヶ月後、部長が見つかったあの山で友だちが死体となって発見された。
友だちは部長の時と同じような状況で発見された全身の骨が折れ、関節は曲がっていた。
警察はまたも自殺として片付けたが俺はそれが間違いだと信じていた。
岩子だ。
2人とも岩子に関わって死んだ。
いや殺された。
だけどあんな殺し方人間には無理だ。
まして岩子のような細身の女に出来る殺し方ではない。
、、、人間じゃないのか?
身震いした。
綺麗な笑顔を思い出すと怖かった。
職場に同じ大学出身で一個下の文学部の女の子がいたので岩子を知っているか聞いてみた。
女の子『岩子さん?知らないですねー。どんな顔ですか?』
俺『この子なんだけど』
昔心霊現象研究部の飲み会で撮った集合写真を見せると
女の子『んー知らないですね。うちの学部人数少ないから名前は分からなくてもこんな綺麗な人なら絶対見たことあると思うんですけどねー』
俺『そっか。ありがとう。』
岩子はうちの大学に在籍していなかった?
じゃあ岩子は何者なんだ
訳が分からなくなり、ケータイで『岩子 ○○(岩子の地元)』で検索すると
一件の都市伝説と一枚の新聞記事がヒットした。
新聞記事は30年前の事故の記事
廃墟に女の子が忍び込んで腐った床を踏み抜き転落死したという記事だった。
女の子の名前は岩子
落ちた衝撃で骨は折れ関節が曲がった状態で見つかったという。
都市伝説には
岩子さんは怖い話が大好きでいつもみんなに新しい怖い話を聞かせて学校で人気者だった。
しかし、怖い話も尽きてしまい岩子さんは人気者では無くなってしまった。
もう一度人気者になりたかった岩子さんは新しい怖い話を自分で作ろうと近所の廃墟に忍び込んだ。
そして新聞記事の事故が起きてしまった。
それから夜になると地元では岩子さんが現れて怖い話がないかと聞いてくるらしい。
答えられなかったり、新しい怖い話じゃないと一本ずつ骨を折られて最後には殺されてしまう。
という内容と事故の犠牲者岩子さんの写真が載っていた。
その写真の女の子は少し幼くはあるが岩子だった。
岩子は死んでもなお、怖い話を集めていた。
部長も友だちも怖い話を彼女に教え尽きてしまうと骨を折られて殺されてしまった。
今もずっと集めている。
今度は俺の番らしい。
もう両足は折られてしまった。
誰か
怖い話を知らないか?
終わり
岩子さん ゆう @ek115713
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