第22話-君が描く未来
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「オレのこと好き?」
そう口から溢れ出た言葉は自分が思うよりも遥かに重く響いた。
オレのこと、
オレたちのこと、誠はどう思ってる?
日頃から感じていた思い。それは誠がオレたちに一線引いているから不安に思うのか、
興味本位で聞いたものだったのか、
残念ながら後者は否である。
だってオレは変わったから…誠と出会って、全てが変わった。
色が無い世界に色が付いたのは紛れもなく、誠のお陰だと言ってもおかしくない。
息がしずらい家
白黒な世界
オレを見てくれない家族
死んでいく心
居場所だと言える場所は…なかった
誠とオレが知り合ったのは、グループ結成して。何年か経ってから。
だと、誠はそう思っているのだろう。
でも実際はもっと前。
誠がSNSで歌みたを上げる前から、一方的に誠の存在を知っていた。だってオレ、誠の元リスナーだからね
まぁ。その話は置いといて、
「オレ、誠と一緒に住みたい。だってさー、せっかくの高校生活じゃん
最後なのにさぁ、自由な時間なんて」
『最後って…、何言ってんの。卒業しても一緒に活動するんだしさ。自由な時間なんて、』
たくさんあるだろ?
と、当たり前な顔して誠は言い切った。
疑う事なく、みんなで歩く未来を信じてくれる。誰かを陥れよう、とか
優位な立場に立とう、なんて欲がないのか。
誠の言葉はまっすぐで温かい。
でもね。誠。
「じゃー、誠の家に泊まりたぁい!!」
誠が描くその未来の中に、オレはきっと
『はいはい。いつかきっと多分家に呼ぶよ、その内ね』
「ちょっ、それ呼ぶ気ある!?ねぇ!」
きっと、居ないと思うんだ。
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