第21話-オレのこと好き?


多分、何かの弾みでオレは肉まんが好きだ、と話したのかもしれない。


というのも、話した記憶がないから忘れてしまったのだろう。鳩並みの記憶…ではないが、



割と忘れっぽいのは自覚している。


お陰でテストを受け終わった瞬間には、覚えた内容が綺麗さっぱり消えているくらいのレベルで…って、



オレの記憶力、残念すぎない?


『…あ、りがとう。』


「ふふっ。どーいたしまして」


佳名斗の記憶力の良さに舌を巻きながら、貰った肉まんを一口、頬張れば中に入っていた肉から肉汁が溢れ出す。


ちょっぴり熱いくらいの肉まん


真冬はこの肉まんで手先が温まる。肉まん=冬



なんて認識、間違ってるのかもしれないけれど



夏になったらコンビニから肉まんが無くなるし、強ち間違いでは無いはずだ。



『…うっまぁ』


頬が落ちそうな美味さに、自然と笑みが出る。


「誠、肉まん好き?」


『うん。すき』


「じゃあピザまん好き?」


『うん。好き』


「じゃ、オレのこと好き?」


『うん、す…、うん?』




流れる様に繰り出される質問へ、こくり。と頷く


けれど最後の質問ではたと首を傾げた。


佳名斗が好きか、嫌いか。


それが分からなくて首を傾げたわけではなく、


質問の意図が分からなかったから、だ。





『…佳名斗?』



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