第16話-大切な存在


「スキャンダル、かぁ〜。確かやられてた人いたよねぇ、大手さんで」


「え!?そうなのか?」


「んー、まぁ、スキャンダルっていうか…自称彼女を名乗ってるリスナーさんが居てさぁ、


一時、その大手さんも企画系は出れなかった筈」




所謂、匂わせ。


好きな配信者のSNSに上げた写真を見て、同じ私物を揃え、彼氏とおそろっ!なんていうツイートは珍しくない。


もっと行き過ぎているのは、加工の写真。


まるで一緒に撮ったかの様に一枚の写真を切り取り、貼り付けてSNSに投稿する行為は、


非がない配信者の好感度すら下げてしまう事がある



「オレたちも気を付けるしかないな。まぁ、リスナーさんに、どんな理由があれ手は上げられない、が


身の回りには注意した方がいい。誠はそこら辺が緩いから、大賀…ちゃんと見ててやってくれ」



「うぃっす」



優しすぎる末っ子は、変な所で警戒心がない。


一人で行動するのを好むし、


無駄に優しいところがある。




さり気に壁を作るのは上手いのに、隙だらけ。


目を離したら、居なくなるんじゃないか

怪我をするんじゃないだろうか、

そんな事ばかりを考えてしまい、気付けば目で誠を追ってしまう。つい探してしまうのは、もう癖みたいなもので、


変に身構えているせいか、無防備な誠を見ると…やたら安堵する。昼間見た、誠の寝顔がいい例だ




すやすやと眠る誠を見て、肩の力が抜けていった


マネージャーはミラにとって必要と言うけれど、それ以前の問題で。


誠はオレ達にとって。


オレにとって、大切な存在だから、




「それと、マネージャー。誠には、引き抜きが来てる話し、言わないで欲しい」


「あら、どうして?知る権利はあると思うけど」


「オレ達としか見れない最高の景色を見せる、後悔はさせない。それにマネージャー、貴方はいつも「4人で活動」に拘ってる。


ミラにとって誠は確かに必要だ。でも、別にグループっていう形に拘る必要はない、




ミラでは誠無しだと機能しなくても、オレたち個々の力は…劣ってない」




客観的な視点で見ても、佳名斗、大賀、オレ。


一人でだって活動はしていける、


しかし、グループに拘るのはマネージャーも一緒




「ふふっ。そうね、貴方達は個々の方が強い。でも、長く、飽きられず、そして上を目指すならグループがいいの。


大丈夫、誠きゅんにはあの話し、言うつもりないわよ。最初からね。これでも私、貴方達の事も気に入ってるのよ?」



他の輩に誠きゅんを預けられないわよ、と


マネージャーは肩を竦めて、小さく言葉を溢した。







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