第9話-ぽてぽてさん


オレのゲーム内でのアバター名は『るぁ』


最初はミラ、にしようとしていた。が、このゲーム、一回名前を決めてしまうとログアウトするまで名前を変えられない。


ミラの誠だと気付かれるより、無関係な名前を使った方がいい。そう思い、なんとなく付けた名前が『るぁ』



何気に付けたあだ名でも、クエストをこなす事に名前に愛着が湧き。今ではこの名前がお気に入り。


『このゲーム、pc版サービス終了してなかったらなぁ』


思わず溢した本音。




オレがこのゲームと出会う前に、既に終了されていたサービス。もし、まだpcサービスがあったら、


配信用に、パソコンでゲーム配信できたのになぁ



『って、あれ?メッセ来てる…あっ!ぽてぽてさんからだ』


さっき見た時は退席中、と表示されていたが。今、確認するとログイン中という文字に変わっていた


もしかして、ぽてぽてさんって夜型?


首を傾げつつメッセを読むと、たった一文。ぽてぽてさんらしいメッセージが送られて来ていた。





《寝ないの?》



と。果たしてこの時間にログインしているぽてぽてさんがオレに言えるセリフなのかはさて置き。


ナイスぽてぽてさんっ


攻略できないクエストも、シナリオもぽてぽてさん居てくれたら100人、いや、1000人力!



《ぽてぽてさん、ばんわ!まだ寝ないです、そっちは?》


画面をタップしながら、ふと気になったのはぽてぽてさんのアイコン。


コラボイベでしか手に入れられないアバターが、今のぽてぽてさんのアイコン





ちょいちょい、容姿を変えたり。武器をかえたり。役職、つまりジョブを変えたり、と


人一倍、ゲームを謳歌している人


新しい武器、補助具、装飾品、服、アバター。それらを手に入れても自慢するでもなく、鼻にもかけない




たかがゲーム。されどゲーム。


実際、ゲーム内で強い人が威張り散らしている、なんて良くある話しだ。


『こういうのは少し…リアルと似てる』


このゲームでは強さが順位に現れる。

4000位から下の順位は表示されず、ランキング外と記されていて、ぽてぽてさんは4000人中なんと5位


強すぎです、とビビリまくったのは仲良くなった後だった


因みにオレの順位は1200位。


総合能力を上げれば、次の日には順位が上がる。レベルで言うならオレは中の下


火力があるわけでも、

防御に長けているわけでもない、




ただ、周りにくっついてクエストをこなして、ただそこそこ強くなっただけ。


ゲームではそれを『寄生した』と表現する、




誰かを頼りにしてしか、生きていけない…


寄生虫。それはまるでミラにいるオレみたい。






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