第7話-巡り合わせ
親すら知らない体質。
バレる事が無かったのは当時、夜勤が多く。夜、ほとんど家に親が居なかったから。
で、今では仕事が成功し、県外出張が多く最後に会ったのは3年前くらい。別に仲が悪いとかはなく、普通
仕事をこよなく愛する母はバツイチ
性格はあっさりしていて、去るもの追わず主義
一度父親がオレに会いたい、と母に言って来たらしいが「そんな暇ない」の一言で一蹴したらしい
そんなどこにでもいる家庭のオレが何故そんな体質になったのか、と聞かれれば逆にオレが聞きたい
見た目年齢、小学2年生
この特異体質に侵されたのが小学6年生。
最初の発症時、急に身体が縮み、あの時は大パニック。けど朝になると元通り。そんなことが毎晩続けば、順応能力の高い世代であるオレは、慣れるのに時間は掛からなかった。
何より自由だと、最近では思えている。
好きで始めたネットアイドル、もちろんネット関係者やリスナーには顔がバレていて、学校の生徒、教師、通りかかる一般人には常に見られている、という意識を抱いて行動していたからか、この格好のオレはやりたい放題。夜中のコンビニへの外出、周りを気にせず好き勝手に振る舞える言動。
かといって悪さをするわけではなく、学校では控えていた胡座やウンチ座り、など。きっと些細な事、けどオレらは…オレたちはネットアイドルだから
我慢する事もある。それがストレスになるか、と聞かれたら良くは分からない。だが、子供の姿になると開放感があり、今では有り難い体質。
とは言え、この体質がオレの弱点になる事も然り
『…絶対、みんなの足は引っ張りたくない』
この体質が公に晒されればどうなるのか、
そう考えただけでも、ぞっとする。最悪オレは人体実験。メンバーは…騙された、と言い怒るだろうか
今、オレに向けられている笑顔が消えたら。
なんて事を考えてしまう。
りと、佳名斗、大賀、
出会いはネットだった。グループを組んで数年、
実際に会いたい、という話が出た時。互いの年齢の話になり、通っている学校の話になった。
丁度、今の学校の入学式がある2日前だったか、
りとと佳名斗が同じ学校の先輩で大賀とは同級生だと知った時には本当に夢かと疑った。
偶然が偶然を呼んだ
奇跡がオレらを巡り合わせた、
だから
『よぉおおおし、今日は徹夜だ!クリアしてないゲームでもするかっ』
まだ見ぬ未来に不安を覚えた。
オレは歩く爆弾だから、
そんな不安を掻き消す様に、勢いよく立ち上がる。
大丈夫。オレの秘密はオレが隠し通す。
みんなに迷惑を掛けないために。
邪魔だと、見捨てられないために。
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