第110話 鉄の軍団。

 仰ぎ見る白い巨大飛行船。

 先ずは真田丸の上空に漂う。


 これで瓦礫を集め築いた人工的な砦は上空に火の見櫓を備えた城となった。


 またエインセルの蒼き渦が出現する。


 異空間ゲートから現れたのは、敷島隊長の要望の “エルヴィン・ヨハネス・オイゲン・ロンメル元帥”直属のラストバタリアン将校5名。

 #ラストバタリアンはヒトラーが心の親友ロンメル元帥に託した純血アーリア民族の血を引く超エリート部隊となる。

  秘密警察ゲシュタポの傘下となったヒトラー直属オカルト部隊に所属する。


 ヒトラーの言葉の回想を紹介しよう。


「フハハハハ、“エルヴィン” 君、君だけだ、私に反論するのは」

 いつの頃よりか内も外も裸の王様と成り果てた。


「“エルヴィン” 君、君には生きて欲しい。そして私がいや、人類が未来を生き抜く為の我が叡智 “ラス トバタリアン” を守り育てて欲しい」


「君には分かると信じるが、極めて大きな大事を成す為には冷徹なままに事を進めねばならん事を…」


「だがその為の細事が余りにも多く、我が闘争を湾曲利己的に利用し暗躍する者らが増殖してしまった」


「今の私は私が作り上げたこのハーケンクロイツの組織に担がれる最終責任だけを下知させられる傀儡 と成り果て命まで狙われる」


  森の裏手にはかって “ヒトラー” が国内闘争を始めた当初からの仲間であるプロイセンレジスタンスが待っていた。


「“アドルフ” 用事は済んだか?」とレジスタンスの爺さんが聞く。


「私の約束は守れそうもないですが、人類の希望は繋げたと思います」と答える。


 ※※※


 異空間から現れたラストバタリアンの姿はクルスの海の激闘時と同じ格好だ。


 ハーケンクロイツ特有の将校の記章が刻印された鉄兜、ゴーグル、

 ガスマスクの様なフェースマスク、西洋の甲冑のような光沢のある金属繊維、

 膝上まである漆黒のマント。

 武器は標準で胸にナチス式手榴弾3本、脇下のホルスターにルガーP08、

 肩紐で吊るしたシュマイザー製サブマシンガン、腰にアイアントマホーク、

 背中にはジュラルミン製の軍用ランドセル、

 背中のランドセルからケーブル3本が腰の蓋つきバックルに接続されている

 固有の特徴で各々得意とする武器を片手に握っている。


 エミリアがまたまた割って入る。

「全てのデザインは変えずに更なるアガルタの超テクノロジーを駆使しています」

「究極の陸戦装備となりますわ、ご覧あれー」 


 待て待て喋っているのはエミリアの横に立つ燃える様なブロンド髪を持つ魅惑の女性。

  オカルト特務機関ヴリルを統括する“マリア・オルシック”だ 。


 技術支援役のエミリアが調査研究筋のお仲間として彼女を呼んだ様だ。

 #どこかエミリアに似た雰囲気がする。


 ラストバタリアン将校5名は敷島隊長の前に整列している。

 作戦概要は既に頭に入っているらしく、担当する部隊の前に立つ様に整列している。

 その後ろには派兵されているゴーレムが5分隊に分かれて列を成す。


 分隊の構成は

 アインス:高機動ソルジャゴーレム8体、タングステンゴーレム3体、

 ダイヤゴーレム1体、キノコ型ゴーレム1体

 ツヴァイ:高機動ソルジャゴーレム8体、タングステンゴーレム3体、

 ダイヤゴーレム1体、キノコ型ゴーレム1体

 ドライ :高機動ソルジャゴーレム10体、タングステンゴーレム2体、

 ダイヤゴーレム1体、キノコ型ゴーレム1体

 フィーア:高機動ソルジャゴーレム2体、タングステンゴーレム1体、

 ダイヤゴーレム1体、キノコ型ゴーレム1体

 ヒュンフ:高機動ソルジャゴーレム2体、タングステンゴーレム1体、

 ダイヤゴーレム1体、キノコ型ゴーレム1体


 整然と並ぶその威容は鉄の軍団ハーケンクロイツを彷彿させる。

 #指導者の暴走で本来の鉄の軍団が悪とされたその精錬された鉄の意志を持つ戦闘のプロ。

 悪名の汚名を挽回する時が今。

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