第104話 白銀のレクイエム。

 天狗八仙の戦闘力は凄まじく万を超える獣人インスマウス人の押し寄せる圧を押し戻す。

 しかし所詮は8名。

 数的にあまりの差があり過ぎる。

 天狗のスタミナがどこまであるのか。

 無尽蔵ではない筈でいつか枯渇する時が来る。


 片や獣人インスマウス人は1万が押し寄せているだけではなく、瓦礫の下のシェルターに避難潜んでいる

 獣人がどんどんインスマウス人化され増殖が止まらない。

 そもそも獣人はその種族で異なるが単数の子孫を残す系と驚異的な子孫数を残す種族も居り途方も無い数

 の獣人がまだまだ潜んでいる。

 その代表種族はネズミ系。

 そこ底の身体能力も持つている事から獣人インスマウス人の中での兵士として大変便利な位置付けでどん

 どん押し寄せてくる。


 もう一つ問題がある。


 僕は令和現代へと戻らなければならない。

 僕不在で大事な仲間等だけに任せられる局面でまだまだない。


 そんな思案の中、彼らが待っていた白銀の光が翔び立つ。


 天狗同士にはお互いの動きが知覚出来るのか天狗八仙が白銀の進む方向の背後をカバーするように動き始

 める。

 白銀の光、白鴉のハクアのゴーレムが雲霞の如き敵勢しか前面に居ない空中に到達すると白銀の翼を大き

 く広げ、翼の先の風切り羽根をも指を押し広げる様に広げる。

 羽根の一枚一枚の縁が白銀の輝きを増す。

 その光の粒子はハクアの眼下に滝の水流のように流れて落ちる。

 光は地面に触れる前にわん曲して獣人インスマウス人の群れに扇型に角度を拡げながら流れ向かう。

 それはこの世のものではない美しい白銀色の水流の川となる。


 天狗八仙はその白銀の流れより前に出る事なく、ハクアの背後の獣人インスマウス人を狩る。


 白銀の水流に触れた獣人インスマウス人は足を止めて自分の周りの獣人インスマウス人に斬りかかる。


 白銀の流れは扇状に拡散し視界に入る限りは白銀一色となる。


 白銀の粒子の中で繰り広げられる斬り合いは今はまだ白銀の湖面の中で見えない。


 ハクアの白銀の流水は荘厳で涙がでるほどに美しい。


 ハクア自身も消えゆく命に涙している。


 白銀の流水は生あるものを黄泉へと誘う鎮魂歌レクイエム

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