第103話 天狗八仙死の舞踏。
「姫君の初陣、皆の衆汚すでないぞ」
「ふふふふ心得たり」
「盛大に行きましょうぞ!」
彦山天狗の重力の神通力と相模天狗の念動力で瓦礫で築かれた石垣の上に8羽の伝説級の天狗が居並ぶ。
眼下には万を下らない獣人インスマウスで埋め尽くされた地獄が展開している。
それぞれ得意の呪印を結び、いよいよ天狗ゴーレムに我が写身として息吹をを吹き込む。
写身のゴーレムなれど憑依の度合が極めて密な為にゴーレムが受けるインパクトは天狗等にも伝わる。
本体だけが高みの見物というわけでもない。
天狗八仙の長である大天狗愛宕山太郎坊がゴーレムを真先に戦場へと駆けさせ先陣を切る。
石垣の外に立ち、押し寄せてくる獣人インスマウスに背中に担いだ巨大な扇を両手で構える。
石垣の上の愛宕山太郎坊も腰に差している扇を開く。
獄炎扇だ。
獣人インスマウスの群れに向かって仁王立ちに踏ん張り獄炎扇を三度仰ぐ。
1度目熱風。
先頭の獣人インスマウスの群は眼を焼かれる。
2度目は灼熱風。
皮膚を焼かれる。
3度目は獄炎風。
骨身を焼かれ塵となる。
扇を構えた先の扇型の先は<プスプス>と大地が焼け焦げる焦土となる。
大天狗愛宕山太郎坊が後の天狗に号令する。
「各おのおの方、存分にお働き下され」
ゴーレムが跳び駆けて行く。
鞍馬ゴーレムは義経の橋渡りのように軽やかに身を踊らせながら石垣を下る。
飯綱ゴーレムが両肩の管筒から管狐を放ち雷の線路を管狐の牽引で下る。
比良山ゴーレムは体から木の葉を吹き出しこの葉の絨毯を滑空する。
彦山ゴーレムは空気の渦巻きを纏い竜巻の様に渦巻きながら石垣を滑る。
相模大山ゴーレムは浮遊しながら石垣の外えと浮遊して移動する。
大峯前鬼ゴーレムはその巨漢のまま落下する。
白峰相模ゴーレムは氷柱を二本走らせ滑り台の様に石垣を滑り降りる。
彦山ゴーレムは黒い闇のオーラに包まれて落下する。
そして始まる。
死の舞踏。
鞍馬ゴーレムは長剣を振るいながら舞を舞う様に戦場の中へと分け入る。
飯綱ゴーレムは肩口の管筒から超高圧の電撃を放つ。
放たれた電撃は狐の顔を持ち獣人インスマウスの胸を電撃で縫う様に飛び回る。
比良山ゴーレムの体から木の葉が吹き出し獣人インスマウスの顔を覆い視界を奪う。
彦山ゴーレムは竜巻を起こし獣人インスマウスを上空に巻き上げる。
相模大山ゴーレムは相対する獣人インスマウスをあらぬ方向に捻じ曲げねじ切りぐちゃぐちゃにしながら闊歩する。
大峯前鬼ゴーレムは剛力棒で叩き潰す。
白峰相模ゴーレムは獣人インスマウスを細胞レベルまで凍らせ霧氷と化し粉々に砕く。
彦山ゴーレムの周りは全ての物が超重力でへしゃげる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
行動を促す源には想いと言う気持的、精神的なものが大きく作用する。それは異形の妖も同様。個体個体で大きく素養や思考までも異なる天狗族にあっても幼き頃より慈しみ可愛がった天狗族の姫君に対する想いだけは共通項でありまた精神奥底まで浸透する強き意志も同じ方向性である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます