第97話 最適最上の戦闘環境に狂喜乱舞する。
人種系の脳味噌、心には色んな趣向や好みがある。
それは外見には依らない。
外見から判断するのは見る側の勝手な決め付けであり狭い判断。
虫も殺さぬ様なか細かぼそい乙女が実は人を斬る欲求を理性で封じ込めている。
現に令和現代の世界でも女子大生が一番仲の良い友達を家に招き首を切落とし殺害した事件もある。
理由は殺してみたかった…。
そう趣向には理由はない。
天賦の才能を持ちそれを見出され修行に修行を積み重ねて人外の技量を身につけた先はやはりそれを使ってみたい気持ちは当然起き得だろう。
巨大な軍事力を持つ国の軍人の長がその軍事力を行使してみたくなるのに近いという話もあるがそれは大きく違うと考える。
武術は己の肉体を極限に仕上げてその技を繰り出す時、その肉体の躍動感触が全知覚から激流となりダイレクトに伝わる。
ただ命令や釦を押すだけとは違う。
生命の脈動を感じる知覚を得た極限者の世界観。
己が自分のコントロール出来る四肢、身体を指先、爪の先までも操る醍醐味。
生き物として生命を授かりし時、先ずはハイハイ、それから二足歩行と身体の機能が向上するにつれ喜びも増す。
普通人ならば機能の向上は二十歳そこいらでピークとなりその後は老いの悲哀が徐々に忍び寄る。
普通人はね。
そうでない身体構造のエリートは二十歳後も向上しその都度喜びを味わう事になる。
暗殺拳である太極拳の使い手の彼らも長らく向上の喜びは得て来た。
その向上した身体機能を模擬的には使っても全機能で使う本気の機会は容易たやすくは得られない。
全機能は相手も全機能で挑まねばならない。
そう生命を賭した戦いの場でしか実現できない。
その場が今ここにはある。
その充足感で笑みも溢もれるだろう。
生命を賭した相手は次々に切れ目なく襲い掛かって来る。
最適最上の環境で水を得た魚のように泳ぐ。
但し川を遡る強靭的な鮭でさえ、川の上流に辿り着いたときは満身創痍で息も絶え絶え。
川を遡る時の水流、小さな塵の滞留物のぶっかりでの小さな打撃で生命力は削り取られる。
暗殺拳の使い手も嬉々と嬉しい状況なれど直接の打撃は受けずに受け流すその体術でもその身体は満身創痍…。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
僕の最適最上の場とは何処だろう。
彷徨い続け生命の期限内に辿り着くことは不可能。
全てを投げ捨て境地を求める仙道に出家しても到底届かない。
でもこの世界ではそれを見つけ実現できる可能性がある。
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