第86話 作戦。
小太郎と、エインセルが二人居残っている。
エインセルが、虚脱った甘鼻声で「知っていますかあ〜」と話し始める。
話始めると言っても人形なので口は動かない。
脳裏に直接声が響く。
「エミリアちゃんから聞いた話なんだけどね、『なにわ』には数多の人らを虜にする魅惑の食べ物が蔓延っているらしいのです、これも調査すべきです!」
今現在、僕の知見を唯一の拠り所にして戦略が組まれている。
様々な情報は吟味すべきだろう。
だがクルクルと水玉のパラソルを回している小悪魔的エミリアの情報か〜少し用心が必要だろう。
そして明らかにした情報で具体的な対応を示してあげないとリスクが多過ぎる。
僕にとってこの世界で慕い従うみんなは宝物であり誰一人失いたくない。
ケルノンクスの悲劇はもう沢山だ!
あの時ケルノンクスに窮地を齎したのは僕の知識不足と危機感の無さだった。
考える考えるんだ。
忍びを極めし小太郎。
空間操作を持つエインセル。
良い組み合わせだ。※不測の事態は緊急脱出も可能だし。
〝エインセル!君の賜りし命玉の能力を使って、『なにわ』に潜入してみよう〟
〝小太郎、エインセル、僕の三人で行こう〟
作戦はこうだよ。
・『なにわ』のリアルな状況を諜報する。
・敵の実態を少しでも掴む。
・魅惑の正体を掴む。
・少しでも危なくなったら即逃げる。絶対に厳守!
※さて回想を終えて、ココ『なにわ』の夜の帳の中に戻ろうか。
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