第80話 それではと会議は始まった。
日本には世界と一線を隔てる得意な精神文化が永年と引き継がれていました。その事に世の雑音を排して静かに思いを馳せる。最適な場所は最寄りにある心のコンビニ神社。御天気良ければ一人で赴くのも良いかもですね。
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集まった面々は先の模擬演習の参加者、妖怪村からシャングリ・ラを目指している一団の先行組も加わっている。
令和現代の風潮でも多様性を声高に叫んでいる。
この多様性は質が悪い。
多様性が声高に叫ばれる前に自己主張の嵐が蔓延しそれが土台にある。
立て付けが悪すぎる。
多様な者らが鎌首をもたげ自己主張を展開し烏合の無秩序が蔓延り始めた。
自分を認めろ協力はしないが仲間として扱え、貢献しないがインフラは使わせろ。
自分さえ良ければ良い勝手放題。
その勝手が何は我が身や自分の生活圏をも脅かす事をイメージする想像力も無い。
それに警鐘するべき年配者は見て見ぬ振りで偽善を良しとする。
もう壊れている。
だが此方のこの場所に集った仲間達は違う。
土台が仲間から始まっている。
そもそも各グループ毎に団結、帰属意識が強く、共に繁栄を願っている。
この地に長らく棲まう妖怪は令和現代の世界で虐げられ棲みづらくなりこの地に転移して来た歴史がある。
彼のケルノンクスのダーナ親族も傍若無尽な自己中的神を辛抱する人間の世から好きな人族と争う事を選ばずにこの地に隠遁した歴史がある。
痛みを受けてともすれば命をも失い巡り合った仲間たち。
いい加減良い目を見ないと浮かばれないよね。
他力でそれが手に入るなど甘ちゃんでもない。
だから寄り添い守り合う事の大切さを知っている。
仲間達は多種多様で生まれ育っているし空間世界さえも異なる。
人間世界の狭い了見とは遥かにスケールが違う。
このチルナノーグに棲まう期間も数日、数年、何千年とまたまた違う。
この仲間達全員に万遍なく理解してもらうための説明はちょっと思案が必要。
世界観をイメージして貰うにはマクロから入る必要がある。
打ってつけの大先生が居る。
ケルノンクスに世界観は任せる。
ケルノンクスが僕の背後から現れると場に動揺が走る。
動揺の中身は様々だろう
本来の彼の姿を知るものはあまりの小さき身体に…。
古の神の存在を目の当たりにして…。
その異形の風体に…。
その内から漏れ伝わる圧倒的魔力の巨大さに…。
ケルノンクスが口を開く。
その時皆んなの脳裏に思念が流れ込む。
あの閑散とした漁村での惨劇後に僕が受けたあの思念の流れがまた注ぎ込まれる。
それはビジョン。
それは宇宙。
広大な宇宙空間。
幾つもの星雲が煌めく。
その星雲が飛び去らないように繋ぎ止めるダークマター。
その星雲の一つ銀河系。
その中にある太陽系。
青い美しい惑星、地球。
灼熱の太陽を中心に軌道する惑星群。
地球から青白い軌跡を引きながら幾つもの閃光が月に向かって飛び出て来る。
閃光は月の重力に一旦引き寄せられるがその推進力を失わずに湾曲軌道を描きながら灼熱の太陽を目指す。
太陽までの到達は長い長い月日を要する。
太陽まで到達した閃光は湾曲軌道分太陽への直線軌道を取らずに灼熱のコロナをかすめて灼熱太陽の反対側へとカーブを描きながら吸い込まれる。
それが地球と双子星と言伝えられる。
地球のシャインツインと相対する惑星ダークツイン。
これがチルナノーグ島がある惑星の姿。
閃光は人の魂の瞬き。
生と死は表裏一体。
シャインツインで潰えた生はダークツインへと向かう。
宗教の世界観で魂の行き場が論説される。
どの宗教でも行き先がある。
天上界、光の世界、極楽浄土。
相反して地獄、闇の世界、奈落の底。
魂が閃光となりダークツインへと軌道を取るには強い想いが必要。
それは生き物の生きた間の有り様が凝縮される。
同じ日本人に生まれ変わりたい。
あの人とまた来世でも同じく巡り会いたい。
そんな魂の凝縮度合いが閃光の強さになる。
希薄な生き方だと魂の練り具合が粗く。
閃光と成り得ずに宇宙空間で霧散する。
動物は生きる事に集中している分魂の練り具合の密度が普通に高い。
問題は人。
令和現代は尚更で魂の凝縮を見ない形で終わる場合が増えている。
ダークツインに辿り着くのは凝縮度合いの高い魂を持つものらとなる。
だからこそ徳の高い高僧ほど魂の凝縮を目指す。
魂の凝縮は善のみとは限らず悪もある。
マラソンを完走する際に最後の踏ん張りが精神力、魂の強さとなるのと同じ理屈。
それら超越した魂が集まる惑星がダークツイン。
もうお分かりだろうじゃろう。メエへへ。
この惑星で生きる事の過酷さが!
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