第65話 エファンゲリーム・エンゲル
ちるなの本来の目的は僕の完全警護と僕の望むことを補佐し実現させる事。
故にその担い手が増える事は喜ばしい事。
ちるなが手を伸ばして蜘蛛女の6本の手の1番上の手を取り宜しくねと握り締める。
蜘蛛女の心臓が〈ドクン〉と鼓動を再開する。
ちるなは僕をエインセルの異空間ゲートに案内する。
この怪人ラボには外と連絡する通路は無いので異空間ゲートのような空間転移を使わないと他へはいけない。
蜘蛛女はちるな等が仲間であることを認識して蜘蛛の糸の罠も解除してくれた。
エインセルも蜘蛛の糸の拘束が解けている。
ドクターに挨拶して僕は異空間ゲートに入る。
エインセルの案内で異空間の中でシャングリ・ラ地上部平原エリアに通じている出口を目指す。
前を浮遊するエインセルとは長い長い付き合いだ。
第一次世界大戦の西部戦線。
アイルランド軍が占拠したとある小さな町。
ドイツ軍は毒ガス攻撃を実施した。
この頃はドイツ軍の毒ガス攻撃への防護マスクは全兵士の標準の装備品に展開され、ほぼ毒ガス攻撃は兵士達の脅威ではなくなっていた。
町の風上に位置する小高い丘にドイツ軍は居た。
ドクトル・ジゴバが率いるドイツ軍の化学兵器部隊福音天使エファンゲリームエンゲル。
防毒マスク、防毒スーツに身を固めた兵隊が機材の設置を急いでいる。
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