第58話 ドッペルゲンガー。

 就業中は業務専念で時間は矢の様に過ぎる。

 帰りの都市高速バスのいつもの座る位置の一番後ろの左隅が空いてるバスが来るまで幾本かのバスを見送る。

 瞑想するのはそれなりに安堵できる環境が必要。

 近隣の異国人が声をがなり立てて話す会話も瞑想し始めると掻き消える。


 シャングリ・ラの地を安全な理想郷とする方策に思いを巡らす。


 現代世界では自分と全く同じ存在が3人居るというドッペルゲンガーの話が世界中にある。

 またその事象の記録も多く残っている。

 そう、その内の一人が悪魔界に居る。

 ドッペルゲンガーはお互いが出会って認知した時にどちらかの存在が消えるという。

 本当か嘘か試すにしても非常にリスクが高い一度切りの検証になる。

 先ずは直接会わない事が得策だろうね。

 現代世界でそのドッペルゲンガーの存在をちるなが見つけてくれてずっと様子を見てくれている。

 悪魔界に居る二人目の自分は超越した存在等に上手く有利な仕様を認めて貰えて驚きのポテンシャルを持っている。

 そのポテンシャルが開花し始めたようだ。


 それは秘密基地の能力。


 その能力は犬千代丸様の地下回廊の部屋に密接に関係する。


 犬千代丸様の地下回廊がどんどん進む中。

 いよいよ、内装の施工が始まる兆しが現れて来た。

 内装は悪魔界で秘密基地という能力を持つ者によって施行される手筈。


 今夜はきっと秘密基地が開花するだろうと予測する。


 目を閉じながらニヤリとする僕は正に怪しい奴…。

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