第53話 襲撃の結果。

 〈にゅるりにゅるり〉とつたが伸びてくる。

 ドルイド僧の法力が蔦を操る。

 蔦は切り刈られた樹木が累々と散らばる後方の切り株の下から無尽に芽生めばえ出てくる。

 蔦はお互いを絡ませて大きな塊に集合して巨大な蔦となる。

 そして前方のゴーレムにそして鎌首を鎌首をもたげる。

 砂ゴーレムの殲滅に気を取られている天狗、鬼、木偶の坊ゴーレムは背後に迫る巨大つたに気がつかない。

 巨大蔦に背後から蓋をされだけではない様だ。

 真後ろまで迫った巨大蔦は鎌首の口を開き始める。

 それは巨大な網だ。

 網目の様に幾重にも絡まった蔦が大きく広がるとそれは網となった。

 まさに一網打尽。

 これが狙いか。

 天狗、鬼、木偶の坊ゴーレムは全く気付いていない。


「成る程ですね!」

 小豆公望が呟く。

「破壊殲滅では無く、袋の鼠に絡め取り戦力無効化作戦なのですね」

 ではと、戦局羅針盤の碁盤の目の駒を動かす。


 と同時に天狗、鬼、木偶の坊ゴーレムの姿が次々に消える。


 そして巨大蔦の真後ろに現れる。


 巨大蔦は網目で捕らえる筈のゴーレムが書き消えている事に気付かずに網を閉じて左右の砂が被さってくる様に左右に揺らす。

 その網目の中が空である事には気付かない。


 巨大蔦の一網打尽の強襲が済み、左右の砂の壁が網目の隙間を埋め尽くして強固な棺桶を作り上げた瞬間に天狗、鬼、木偶の坊ゴーレムがその棺桶の上にドンドン現れる。

 そして前方の砂ゴーレムに襲い掛かる。


 勝負はついた。


 天狗、鬼、木偶の坊ゴーレムは砂ゴーレムの頭上を豪圧の攻撃で踏み散らしながらシャングリ・ラの地下回廊の入り口となる前方後円墳を取り囲む。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る