第37話 僕のやるべき事。
忙しくなってきた!
ぼんやりと限りある時間を無意味に費やす日々とどんどん縁遠くなる有意義な時間の活用。
戻ったのは夜明け前でまだ暗い時間。
時計を見るとまだ明け六つ。
眠るには半端な時間で頭の中の整理には調度良い。
夢の世界は物心ついてより唯一の遊び場だった。
裕福では無い家庭環境で玩具もお菓子も小遣いも無いので学校が放課した後に友達と遊ぶ術も無かった。
友達は本だったかな。
でもね私には無限に広がる内宇宙である心の世界があった。
今風に言えば妄想というものかな。
でもこの妄想は少し違ってる。
連載ドラマの様に次々に展開する話。
日常よりも色彩豊かなカラフルな世界。
幾種類もある話のバリエーション。
そして一番違うのは妄想世界である事を自覚している自分の存在。
だから妄想世界を司ることが出来た。
意のままに操れるし思う通りになるまで何度も繰り返せた。
でも全てを掌握するには途方も無く手間なので妄想に任せた。
余程の事が起きない限り介在しない。
おもしろき遊び場。
成長するに従ってそのその存在感を薄れさせてしまった。
いつの頃からか会えなくなったその世界。
ピーターパンが大人になってネバーランドに行けなくなりその存在も忘れてしまうのに似ている。
沢山の時間が無駄に過ぎ去りその無駄差を更に感じる会社生活。
その虚無の中に煌めく万華鏡の覗き穴を知っている事を思い出した。
明け六つ夜が明けるこの時間に記憶の扉をノックする方法を思い出した自分に感謝して暗闇の中でニンマリとする。
ただ思い出しただけでは無い自分を取り巻く悠久の大河をも直ぐ目の前に感じるこの感触。
如何に内宇宙に広がる世界のおもしろき事を指先がジンジンするほど感じている。
携帯の目覚まし時計アラームが鳴る前にOFFしてやおら起き上がる。
今日の1日をどう過ごすのか。
頭の中の付箋紙に書いて貼り付ける。
まず日常が二重化しているこの感覚は日中に労働するだけの単調なものでは無く、生きる糧を得ながら内宇宙の自分の王国の発展に寄与する発想や情報を得る事も大事な日常の行なうべき目的となっている。
自分を尊きお方と呼んでくれる君らの元に私は戻って君らを発展繁栄させる。
そして大事な人らを守るために!
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