第26話 地下からの思念。
〈ギーギーギー〉、今では巨大な空洞と化した御影石のある居間。
洞窟内に反響してこのギーギーギーが何処から発せられているか人間なら分からないだろう。
しか~し、オケラの身であれば、お尻の先にある2本の触覚が音波探知機のように作用して頭の中にレーダー画面で表示、、、ココです!と表示される。
それは私の真上に居た。
天井までの高さは堀に掘ったもんで天井の壁面は人の視力では鮮明に把握出来ない程に高い。
え~と、オケラの身ならば暗視機能付きの眼もあるけど、流石地中の住人である故の第3の知覚器官がある。多分、電磁探知機。
暗視視力と電磁探知の画像が脳内に180度天周3次元フィールドに画像として展開される。
居る!居る!
〈ギーギー〉鳴く度に、私オケラのお尻の触覚がそいつの姿を鮮明に具現化する。
もう一つおまけに、お尻の2本触覚の中間にぷくっと出ている小さな突起を〈プルルン〉と震えさせる。
すると、頭の中に〈ピキーン〉と澄んだ音色が走る。
そうソナーだ。
人の言う事だとね。
※本来、人は自然の生き物がその環境下で際立たせた特異な能力を科学力で身に付けてきた。
特異能力を持つ自然の生き物にとってはウンコする程に普通な事だけどね。
排泄の仕組みを科学で真似ようとしても到底辿り着けるもんじゃないように科学で追いつかせるのは膨大な時間と労力が必要だろうけどね。
なんと、なんと、オケラの麻呂はソナーも普通に操る。
屁をするが如く。
さ、そいつの全容。
瓢箪のようなくびれの極端な体に左右4本ずつの体よりも長い手脚。
これは、蜘蛛ですな蜘蛛!
頭の中の3次元フィールドで自分と比較しての大きさも推測像として確認できる。
麻呂の2倍以上の大きさだ。
ソナー音を蜘蛛に照射したのが刺激となったのか、お尻から白い糸を出し、それにぶら下がるようにゆっくり降下してくる。
ゆっくり…。
う、〈シュルシュルしゅルルル〉と急に降下速度が速まる。
〜○〜
思い出を真剣に紐解いた事はありますか。
インディオ族やアイヌ族、チベット族の様に有名な先住民族はある種の先人との魂の繋がりや自然の理と共に歩ゆむ術を希薄でも現代にも受け継いでいる。
それら先住民族の命脈で最も多くの人口数を揺るぎなく維持する民族は言うまでもなく日本民族となる。
血の命脈を幹として揺るぎなく生命を紡いできた日本人。
日本人ならきっと自身の記憶だけでなくその前の世代へも遡り思い出せるかも知れない。
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