第22話 守りについて数千年。

 守りについて数千年。


 砂塵の護り。


 城塞の護り。


 これらを抜けてここまで辿り着く者が本当に現れる事は無かった。


 平安の世、陰陽師の名門一族であった我ら土御門に陰陽の術式で冥府との往き来を行う優れ者が居た。


 その者、冥府にてオケラ様と出会う。


 その優れ者の名は月詠ツクヨミ


 オケラはあの野畑に棲まう昆虫。

 両手に強靭なシャベルの様な土掻きを持ち、地中生活での利便性を追求した研ぎ澄まされた地中触覚、土粒を纏わり付かせない体毛でコーティングされた身体は水中活動も可能とする。

 そして羽根があり空中飛行も可能。

 数多の環境に適応能力を持つ万能な昆虫。

 それがオケラだ。


 月詠はとある森の中で異常に高い霊力を発する岩を見つける。

 その岩に耳を当てると人語が響き聴こえた。


 お腹が〈グー〉お腹が〈グー〉〈グー〉。。。


 そうでおじゃる〜生き物は食べ物が必要でごじゃる。

 はて、オケラの身の上の麻呂が食べる物はなんであろうか。


 独り言が響いて聴こえる。

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