第23話 馴染めばそれなり楽しいでごじゃる。

 もしオケラに生まれ変わったら…。しかも前の記憶も持っている。


 〜○〜


 月詠ツクヨミは冥府に入る度にこの岩の声を聴きに来た。


 根っこが部屋中の壁からニョキニョキでごじゃる。

 喰ってみようかの〜。


 〈ボリボリカリカリ〉


「うーまーい」つい大声で吠えてしまう。

 あっちの根〜、こっちの根〜、ランランラーンと、嬉しさ満面で舞になるわ。

 根もなかなか奥深いものでごじゃる。

 地中の奥深い所にニョキニョキしている所以はあるある。

 味も色々で甘いのや酸っぱいの辛いの。

 食感も〈ポリポリ、ツルリン、カチカチ〉とこれまた様々で飽きないね!

 ルンルンルーンと、壁に沿って食べまくる。

 栄養価も高いだろうね。

 根だからね。

 みるみる力も増す感じでごじゃる。


 〈ポリポリ、ツルリン、にゅるにゅる、ポリ〉


 ギョ!なに、なになに、この感触。

 根じゃない根じゃない。

 動物的な食感、にゅるにゅるの所まで後戻りする。

 ピンク色で伸び縮みする管がうねうねと動いている。

 先っぽは、あたしがパクリとしたから無くなっている。

 これは、ミミズちゃんだ!ごめんなさい。

 齧ってしまった。

 ジーッとうねうねを見てると。。。

 あの喉越しと食感が蘇る。


 パクリ、〈にゅるにゅる、つるつる〜〉と齧るよりも啜ってしまった。

「うーまーい!」新発見!ミミズは「うーまーい!」

 そうなんだよ、そう!麻呂はオケラちゃん、人の既成概念なんて何の意味味もないんだよ。

 オケラの概念はね〜そうだね〜第一に栄養価があれば、生命を繋ぐものとしてどんどん喰うのだよ。


 生命を繋ぐ事よりも優先される事は無し!


 そう!事は無しでごじゃる!

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