第71話 妖の里。
ゆうやから黒い霧が消えている。
僕が愚かだった。みなみちゃんにまた迷惑かけたよ。
いつまで経っても僕はお子様。
だからみなみちゃん居ないと…。
「ゆうや、一人じゃ無いと言わなかった!もぉお子ちゃまね」
頭の中にみなみちゃんの声が響く。
ウン、本当にみなみちゃんが居る!
感じる感じる事が出来る。
今までとは違う感覚。
居るのがわかる。
「君は幸せ者だね、みなみ君は君と居る事を選んだんだよ、幽界の方が気楽で楽しいのにね」
「君の中に自身の幽体を融合させたんだよ」
「もう離れることは無いだろうね」
昔、幽霊族と人間族が結ばれて幽界と人界のハイブリッドが生まれた事がある。
やがて妖怪へと変化したその者は霊力と妖力と人間力を合わせ持つ途方も無いバケモノとなった。
「みなみ君が一緒ならもう大丈夫だね。だが〜ゆうや君、君は更に凄まじい存在となったね」
勇也が歩み寄るのはハクア。
ハクアの手を取り「ありがとう」と頭を下げる。
「やっと覚醒出来ましたね、これで御君様のゆうやに近付きましたね」
大広間の真ん中に位置する大楠木が黄金に輝いている。
「これはゆうやの試練でした。乗り越える為に仲間も集まりましたね」
田心姫神の声が大広間の面々に舞い降りる。
大楠から〈キラキラ〉と黄金の粒子が吹き上がる。
そして皆んなに満遍なく降り注ぐ。
粒子は進化の胚芽だった。
妖怪族、幽霊族、人族、人外の存在に一様に降り注ぐ。
「己の弱さを正そうとしない、己に向き合う事から逃げる弱虫さんは卒業ですね、見て見ぬ振りの仲間も正しき道を指し示し共に歩むことを学んでくれました、尊きお方の元に行く準備が整いました、進化の胚芽は皆さんそれぞれの準備が訪れたら更なる高みへと導いてくれるでしょう」
「これよりこの地はゆうや様の里とし、妖怪共々、私、田心姫神が守護致します」
「数多の妖が平穏に暮らす里造りをゆうや様に託します」
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