第66話 届ける!
届ける!
おぎゃーと生を受けてより齢を散々重ねても80歳ほど。
そんな短い短い寿命なのに人は業を持ち、特に物への執着心が激しいという。
ただその執着の在り様に業を超える清廉なものがあるとハクアは聞いた事がある。
聞いた当初は意味は分からなかったけど、今自分が見つけたこの宝物は物欲ではない清廉な輝きを放つものだと感じる。
届けなきゃ!
これをゆうや様に!
飛び立つ白鴉の白銀の翼の風圧でゆうやの部屋一面に苺みるくキャンディーの包み紙が〈ひらひら〉と舞う。
飛翔しながらハクアはシンクロナイズドカードの裏側を額に当てる。
〈ひらひら〉と最後の包み紙が畳に落ちる。
青い渦巻きが空間に現れフランス人形が出てくる。
ハクアが見つけた包み紙を手に取って呟く。
「これのどこが宝物なの、私には理解出来ない、不思議な事」
異空間にハクアが戻って来た。
「エインセル!エインセル!」ハクアが叫ぶ。
「私を大広間のゆうや様の元へ連れて行って下さい!」
「早かったわね」
「じゃ最速で戻るわよ」
エインセルがハクアの手を〈グイッ〉と引いて走り出す。
最速はやはり走るんだ…。
大広間の空間に青い渦巻きが現れる。
その穴からエインセルに手を引かれてハクアが出て来る。
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