第61話 セルロイドの企み。

 

「お願いです、エインセルさんは異空間を渡る能力をお持ちですよね」


「エエそうだけど、どうしたの?」


「私をゆうや様の元居た世界、現世に連れて行ってくれませんか」

「このままではゆうや様が正気に戻るとは到底思えません」


 後ろ向きで聞いていたフランス人形は誰もいない方向に向けている顔をニヤリとさせる。

 そうそう来なくちゃ!

 見てみたい見てみたい必死な生あるものの足掻く表情。

 感情や心の無い私が一番見たい確認したい事。

 思った通り足掻くわね。

 白鴉ハクアちゃん…。

 あなたにはちるちゃんと同じ感じがする。

 だから興味があるの。


「異空間を渡るのは普通だけど、今回は時渡りもやらなきゃいけないのよ」

「時空間移動は尊きお方の能力をお借りしないと出来ないので許可カードがいるけど」

「ちるちゃんが先を見越して許可カードを貰ってくれてるわ」

「じゃ、行こうか」


 エインセルがハクアの手を引き動こうとすると騒がしい連中も付いて来ようとする。


「もう静かにしなさい!って」

 〈パチン〉エインセルがセルロイドの指を弾いて鳴らす。


 騒がしい連中は一瞬で搔き消える。


「時空を超えるわよ〜!」

「ちるなから渡された許可カードを額に当てる

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