第4話 お前は誰だ!

 メリット、損得を基軸にする考えを是とする風潮が当たり前であるようにメディ

 アは吹聴しますが、すごく違和感を覚えます。


 何か日本人の本質を構成する理念と言いますか、心が気持ち悪がる感じがします。


 日本昔話の笠地蔵やごん狐の話の中に吹いている風を心地良いと感じる感性が悲

 鳴を上げてます。

 

 いつの頃からか、心地良くない異物混じりの風が日本を吹くようになったのでし

 ょうね。


 〜○〜


 唐突に

「エコイクエコイクマールンバ慈悲無く支配するモノよ、

  古き盟約に則りその力を発現せよ〜慈悲無き呪縛の棘の蔓」と

 おばあさんが呟く。


 〈ガキーッ〉と身体が固まる、エ〜身体が動かない。

 思考は自由だけど、身体が動かない。

 これは呪文のような言葉を呟いていたから魔法なのだろうか。


「ヒャハハハ、まんまと掛かりおったわ!」

「美味しそうなエーテルを貯め込んだ、小僧め。ヒャハハハ」


 いつの間にか、お婆さんの容姿が変貌している。

 緑色の髪に、青白い顔と肌、ギラつく緑色の眼、かぎ鼻、

 そして巨大な乳房を垂らしている。。。。

 魔女、そう魔女だこれは。


「さてさて、待っておれ待っておれ、ヒヒャヒャ」


「エコイクエコイクマールンバ慈悲無く支配するモノよ、

  古き盟約に則りその力を発現せよ〜魂の源泉を吸い込む唇」


 〈ブワーン〉と、耳鳴りがして力、気力が萎える。


 お婆さんの腹が見る見る膨らみ〈パンパン〉になる。


「何て子だい!ちょっと味見したら丹田がはち切れそうだよ」


「おまえ達、二階の座敷牢に運びな!」


 二階から、

「ギギーッギギーッギャウギャウ、ギャウン」と耳障りな声を

  発しながら人型の狐が下りてくる。


「ルサールカ、怒ってばかりで五月蝿い五月蝿い、嫌だ嫌だ、

  ギギーッギギーッギャウギャウ、ギャウン」


「不快よ!この声、嫌だ〜」と、〝みなみ〟ちゃんが耳を塞ぐ。


 黒板を爪で引っ掻くような〈ギギーッ〉音を発しながら、狐人間がぼやきながら〝ゆうや〟の足を掴み引きずって二階に上がる。


 ゴトンゴトン、階段を上る度に頭を打ちつける。


 階段の中程で〝ゆうや〟は意識を失う。


 ゾワゾワする悪寒で〝ゆうや〟は目覚める。

 目覚めた眼の真上から〝みなみ〟ちゃんが心配そうに覗き込んでいた。


「ゆうや!大丈夫なの?ねぇ、ゆう〜や!」


 朦朧とした思考で考える。


 多分頭は、たんこぶだらけ、横たわる頭の感触がデコボコ。。。


 痛痒い感触が頭全域にある。


 薄暗い部屋だ、格子状の木の枠で囲われている。


 頭を整理しよう。


  1.多分、多分、死んでるよね。

  2.でも、生きてるし、みなみちゃんも一緒。

  3.でもでも、ここは何処?天国?地獄?異世界?異世界の定義って何だっけ?

  4.それでそれで、捕まって牢屋に入れられてる。

  5.頭ボコボコ、狐人間が粗雑に引きずるから。

  6.親切そうなお婆さんは、多分魔女だ。〝ルサールカ〟と

  呼ばれていた

  7.吸われた、エーテルとかを吸われた。吸われると気力が

  萎える。

  8.僕が捕まった理由。それはエーテルとかを吸うため!

  9.そして揺るぎないこと!『みなみちゃんは、僕が守る。』


  そして最後に、


「牢屋の隅の暗がりでずっと笑って見つめる、お前は誰だ!」

  と横たわった姿勢から指差す。


 お前は誰だ!誰なんだ!誰なんだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る