第2話 恐怖の群れ

トレーラーが山間部に差し掛かったその時、サイレンが遠くから鳴り響いた。


サトネの乗るフィールドブレイズ2号機のモニターにトレーラーの後方カメラの映像が映る。どうやら国連軍の別部隊が接近しているらしい。


「すまんリナ、休む暇なく追手のようや」


映像を共有したリナは舌打ちする。


「ちっ、こんなに早く見つかるか。振り切らねぇと……っ!?」


突然、追跡車からの銃撃がトレーラーの側面に命中した。


「あいつらマジか!?撃ってきやがったぞ!」


リナは驚いてモニターに釘付けになったが、サトネは冷静に対応しようと努めた。


「リナ、落ち着いて。フィールドブレイズは動ける?」


「トレーラーの荷台の上じゃあ思うように動けんぜ?それに何より、武器がない」


「それでもやるしかない。1号機のアベイラビリティモニターを共有して」


「わ、わかった……!」


リナは深呼吸をしてコンソールを操作する。2号機との戦術リンクシステムを使い、機体のダメージ状況を含むステータス情報の共有設定をオンにした。すると、1号機の情報はすぐさま2号機に転送された。


サトネは受け取った情報をシステムAIに解析させ、すぐさまダメージコントロールシステムを確認した。


「なるほど……右腕肘関節APSのDCS信号が途絶してる。耐久値制限オーバーどころかモーターが焼けかかってる」


「射撃武器があったところでロクに照準を合わせることもできねぇってことか……」


対応策を考えている間にも、追跡車は距離を詰めてくる。激しい銃弾の嵐は刻々とその密度を増していく。


「ふむ……ここは、必殺技を使うとしよか」


「必殺技ぁ?」


リナは首を傾げた。

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