第4話 Far away
そんな会社を立て直す、と息巻いていたのが数日前。
その詳細を聞かされるとのことで再び工場にやってきたサトネは、何やら見慣れぬ車両が門前に止まっているのに気がつく。
「なんや、あの車。UN……国連軍の装甲車か?」
車両のマーキングから察するに在日国連軍の軽装甲車のようだ。
さらに敷地内に目をやると、巨大な人型機械……端的に「ロボット」と称されるようなものが存在している。
「あぁ……ってなんや?ロボット!?どういうことやこれ……」
白銀の装甲色に輝くロボットは、どこか懐かしい独特なオタクムーブをしている。
「あれ……乗っとんのリナやな……」
幼馴染だからわかる、このダサく見慣れた動き。
それは、このロボットに乗っているのが間違いなく彼女であると裏付けていた。
「いや、そんなことより……これ、どういう状況なんや……」
工場正面の敷地へ至る門は数名の軍人により封鎖されている。とはいえ、民間の施設のためフェンスの隙間などいくらでも入り込める余地はある。侵入自体は容易そうだ。となると、目下とるべき行動はあのロボット……というかその操縦者へのコンタクトであろう。
「とりあえず……メールでもしてみるか?」
サトネはスマートフォンを取り出しシンプルな文言でメッセージを送った。
「今、着いた。どういう状況?……送信っと」
すると数秒後、速攻で返信が届いた。
「逃げる。手伝え。バックアップ任せる。 ――リナ」
「……なるほど」
サトネは大体の状況を察した。
リナが搭乗していると思しきこのロボット、法に触れるものなのか、いや恐らく確実に十中八九そうなのであろうが、とにかく軍人に接収されようとしている。
それをリナは拒んでいる、ということであろうと推察される。
ならば返すべき返信はひとつだった。
「おk。……送信と。よし、ほな頑張りますか」
サトネは監視の軍人の目をかいくぐり、フェンス横の植え込みの隙間から工場内へ侵入した。
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