第11話 届けたい希望を
フィールドブレイズには設計段階から重要なファクターとして推進器の存在が組み込まれていた。
そしてそれは、大別して2種類に分類される。
1つは主機たるメインスラスター。
跳躍や走行時に併用するもので、これは腰部に左右1基ずつ搭載している。
そしてもう1つは方向転換、姿勢制御用の小型サブスラスターであり肩部と脚部にそれぞれ2基を備える。
多脚戦車の吶喊回避のために使用したのはメインスラスターであったが、あくまで短距離跳躍を目的としていため、リナは咄嗟にフットペダルを浅く踏み込んでおり、出力を半分以下に抑えて使用していた。
「ま、いくら脚が速かろうが着地時は避けれまいよ」
「げっ!?」
グーテンベルクの声を聞いたこの時、リナーシャは初めて狼狽えた。
視線の先に、軽装甲車から身を乗り出し対戦車ロケット弾を肩に担ぐ彼の姿があったからだ。
「それは反則でっ……」
指揮車たる軽装甲車をノーマークにしていたのは浅はかだった、と悔いる間もなくロケット弾は既に発射されていた。
そして、次の瞬間にはフィールドブレイズの上半身は火球に包まれていた。
爆煙で姿は確認できないが、紛れも無く直撃している。
「あーあ、やっちまった」
「参謀本部の命では無傷で確保、とのことでしたが……」
「しかたねぇだろ、現場の判断だ」
さっきと言っていることが違うじゃないか、と副官は内心でツッコミを入れた。
「よーし、対象の損壊状況を……ッ!?」
煙が、晴れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます