第9話 疾風のように

「チッ、2号車はやつを追い込め。1号車、3号車は縦列で奴に吶喊!」


この間、わずかにフィールドブレイズに隙ができていたことを見逃さなかったグーテンベルクは作戦変更を指示した。


どういうわけか攻撃に転じない敵に対し一気に強気に出る策である。


逃げ場をなくした敵に対し、ステップ幅以上の縦列隊形で多脚戦車を突撃させようという魂胆である。


「おっとっと、考えは悪くなかったがな!」


何かが低い轟音をあげた途端、多脚戦車のパイロット達の視界にフィールドブレイズの姿はなかった。


「ど、どこだ!?」


「馬鹿野郎!上だっ!」


グーテンベルクの怒号が飛ぶ。


「なっ……ジャンプしたのか!?」


青ざめる多脚戦車の乗員を見下ろし、フィールドブレイズは上空から巨大な影を落としていた。


その姿を、自分達の遥か上空に捉えた兵士達は狼狽した。


跳躍と言うよりは飛行したのではないか、と錯覚するほどの高さを舞う鋼の巨体。


フィールドブレイズの脚の付け根には、淡い青色に輝くフレアが見えた。


「野郎、なにを吹かした!?」


ヤツには間違いなく推進器が搭載されている、とグーテンベルクは確信していた。

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