大海を征く

ある日、6歳のヨウと5歳のツクヤは2人だけで海辺できれいな貝殻を探していた。

自分の母親ママであるフェネックとタイリクオオカミにプレゼントしたいと思ったからである。


しかし…


「わーーーん!!」

「よしよし…ど、どうしよう…」


2人を囲むボート型のセルリアン、この日は運悪くセルリアンの数が多かったようだ。


「ぐすっ…ぐす…」

「だ…だれか…」


ここまでか、と思われたその時…!


「烈風のサバンナクロー!」


『——!!』


「ぅ…?」

「わあああ…!!」


ヒーローは、いつどこにだって現れる…!


「仮面フレンズデオキシ!俺の進化を見せてやる!!

大丈夫かヨ…(咳払い)キミたち!」


「「わー!」」


ヒーローが大好きな2人は大喜び、早速と仮面フレンズが現れたのだ。


「さてさて?子供を泣かすとは感心ならんなぁ?

お前たちにぴったりの姿でお仕置きしてやるぜ!」


デオキシは懐のホルダーから青色のカプセルを取り出すと、元々ついていた黄色のカプセルと入れ替えた。


「ホエールカプセル、セット!」


『ホエール!』


カプセルをブレスレットにセットすると、ラジオ型のベルトから軍歌のようなメロディが流れた。


『D!N!A!(ダダダン‼︎)

D!N!A!(ダダダン!!)』


「トランスフォーム!!」


そして、「トランスフォーム」の掛け声と共にベルトのスイッチを押した。


『ホエール!ホエーール!!

Dominate the sea大海を制す!!

ザ・パーン!!!』


「仮面フレンズデオキシ・ホエールフォーム…ビッグウェーブに乗ってみな!!」


デオキシはクジラの能力を持った、戦艦の司令官風の姿へとフォームチェンジした。



『——!!』


セルリアンは「それがどうした」と言わんばかりにデオキシへと突っ込んでいった…が!


「真っ正面から突っ込んでくるとはな!ほら、流れちまいな!!」


デオキシはクジラの尻尾をかたどった武器を振り回し、大波状のエネルギー波を放つとセルリアンたちをあっという間に押し流した。


『パカーン!パカーン!』


セルリアンはなすすべなくあっちこっちに流されながら、粉々に散っていった。


「やれやれ、それにしてもセルリアンにも効くとは…さすがだな?」


デオキシは終わった終わったというように一息ついていた、だが…


『——!!!』


「おいおい嘘だろぉ…?」


いかり型の触手をつけた大型のセルリアンが海から上がってきた。

そして、なんとも言えない音をした雄叫びをあげるとデオキシに錨を振り下ろしてきた。


「くっ…ぬおおお!?やべぇなこれ…ちょあっ!!」


デオキシは武器で攻撃を防ぎ、弾いた。


「おい、まだか!?…あとちょっとだな?」


デオキシはブレスレットのゲージを確認した後、時間稼ぎというように大波をセルリアンにぶつけた。


「ふん!とおっ!!」


『——!!』


そして…


「よし!そろそろ良いっぽいな!」


ブレスレットのゲージが溜まり、カプセルが輝いた。

デオキシは変身のスイッチとは反対にあるスイッチを押して高らかに叫んだ。


「行くぞ!エヴォリューション!!」


『Awaken genes, evolve and fighting spirit!』


おそらく意訳すると『目覚めろ遺伝子、進化しろ闘志』だろう

デオキシの体を構築するボディに戦艦型のアーマーが装着され、重量級ファイターといったような見た目になった。


「戦艦は…着るもんだぁ!!」


何という暴論、そんな理論は聞いたことがない…


「副砲乱射!!オラオラ〜ッ!!」


戦艦型アーマーの副砲から、サンドスターを凝縮した弾が放たれた。


『——!!??』


セルリアンにそんな感性があるかはわからないが、セルリアンは驚いたようにのけぞった。


「っしゃ、今だ!」


デオキシは力を思い切りためて、必殺技をチャージした。


「行くぞ!!主砲、発射ァァ!!」


『ズドォォォッ!!!』


ヒレ型の武器の持ち手に追加パーツを取り付けた主砲を抱えて、セルリアンにありったけの一発をおみまいした。


『パッッカーーン!!』


大型のセルリアンも、跡形もなく散っていった。


「ミッション・コンプリート!ってな!

…もういねーよな!?」


デオキシはきょろきょろとセルリアンを探し、今度こそ終わったと一息ついた。


「ふー…」


すると、岩陰に隠れていたちいさな2人が、デオキシに駆け寄っていった。


「「かっこいい〜!!」」


「おっ、無事だったな〜?

さて!俺は次のお仕事があるから、もう行くぞ?2人とも、熱中症に気をつけろよ?」


「「ありがと!!」」


デオキシは駆け寄ってきたヨウとツクヤを撫で撫でとすると、急ぎ足でその場を後にした。



〜大きな岩の陰〜


「ふーっ…危なかったな?」


岩陰に隠れたデオキシ…いや、暁ケイスケは変身を解いた。


「貝殻を2人だけで探したいって聞かないから、送り出すふりをして後をつけたらアレだよ…。」


セルリアンの情報を確認すればよかったと言うように『あちゃー』のジェスチャーをすると、2人を迎えに行くために2人の元へ向かった。


「おーい?2人とも!」


「パパ!」「おじさん!」


「綺麗な貝殻は見つかったか?」


「これ!!」「これ…!」


「おっ?綺麗だな!

怪我とかしなかったか?」


「うん!大丈夫!」「でも…セルリアンでた…」


「なにっ…セルリアンはどうしたんだ?」


「ヒーローがやっつけてくれたー!」

「くじらさんみたいになってた!」


「おおー!そりゃよかったな!

お礼言わなきゃな?」


自分がヒーローであることはまだ秘密にしているケイスケだった。

たまに冗談混じりに話してはいるが、子供達はケイスケ=デオキシとは気がついていないのである。


フェネックとは別の意味友情的な関係で仲の良いフレンズが『秘密の方がカッコいい』と言って聞かなかったから、だそうだ。


「さて!2人とも、帰って綺麗な貝殻をママにプレゼントしような?

今日はちょっとチャレンジしてお寿司を作ってみるからさ!」


「「じゅるり…!!」」


血と心で繋がった息子たちの手を両手につなぎ、パークの自由と平和の守護者は愛する我が家へと帰っていった。












最後にこれだけ説明しよう!

仮面フレンズデオキシは『エヴォリューションする前』には『動物の力』、『エヴォリューションした後』には『動物をイメージした力』を使うのだ!


作者はこの辺を思いつくまで、他作品と違う個性をつけるのを苦労したらしいぞ!

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